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中国人にとって憧れの職業とは?
中国人にとって、憧れの職業をランキング形式で発表します。
最近の中国人気職業ランキング
「人民網日本語版」が、中国青年報社会調査センターが行った人気職業・業界についての調査を報じました。結果は、以下の通りです。
1位 医者(43.9%)
2位 教師(38.9%)
3位 インターネット業界(37.3%)
4位 電子商取引(34.9%)
5位 技術者(34.7%)
トップ5に続いて、公務員(32.6%)、物流業(27.7%)、起業者(26.0%)、金融業界(25.0%)、観光業(23.4%)、などがランクインしています。
中国で人気な職業の変化
医師や教師に比べると、インターネット業界や電子商取引は現代的な職業です。最近の中国社会において、人気の職業は変化してきています。経済的な発展を急速に遂げている中国では、若者たちの仕事への考え方や価値観が、先進諸国と近似してきているからだと考えられます。
世代別にさかのぼると、1970年代の世代は大手企業志向が強く、1980年代の世代は国家・地方公務員で安定した職業が人気でした。しかし、経済や政治の状況が変わった1990年代の世代では、企業経営者が支持を獲得。実際に経営者が増えて、成功する中国人が多数輩出されました。
このように、時代の流れに応じて人気の職業は変化してきました。
中国「幸福な職業」ランキング
中国では、人気の職業だけでなく、幸福だと思われている職業も発表されています。興味深いのは、両者のランキングが一致しないことです。では、実際にランキングを見ていきましょう。
2015年ランキング
「2015年中国幸福小康指数」では以下の通り発表されています。
1位 自由業
2位 教師
3位 政府高官
4位 芸術家
5位 一般公務員
さらにツアーガイド、民間企業家、フィットネス・トレーナー、俳優、創業者が続きます。
このランキングで重視されているのは、「収入」であるようです。中国に限らず、所得の高い職業はどの国においても人気があり、幸福度を高めると考えられています。
さらに個人の能力や成長も、若者からは支持されています。このように、現代の中国社会では経済的な成功や自己実現が幸福になるために重んじられていると読み取れます。その考え方を代表しているのが自由業なのでしょう。
2012年からの変化
2015年と2012年のランキングと比べれば、一目瞭然です。さらに2013年、2014年のランキングも見ていきましょう。
・2012年
1位 普通公務員
2位 政府官僚
3位 教師
・2013年
1位 教師
2位 政府官僚
3位 高級管理職
・2014年
1位 政府官僚
2位 高級管理職
3位 教師
類似したランキングは、2014年まで続く結果となっています。
社会主義国であるため、歴史的に安定志向が強い中国。しかしグローバル規模で起こったIT企業やベンチャー企業の創業ブームの影響は、中国にも及びました。
ベンチャー特有の挑戦的な仕事や理想的なライフスタイルを得られる仕事が、幸福を実現するのだと考えられるようになったのです。その一方で、これまでのように長期的に安定して働ける公務員は、幸福度が強い職業として根強い人気を誇っています。
しかし教師に関しては、安定というよりも長期休暇が取れるということで支持されているという意見もあります。長期休暇を使って、家族との時間や旅行など、自分の時間を大切にしたい労働者が多いのでしょう。
広大な土地で、極めて人口も多い国家ということもあり、仕事に対しては保守的な考え方もあれば、革新派に共感する考え方もあります。しかし時代とともに、職業観が変わっていることは注目すべき事実です。
中国で人気な仕事のスタイル
人気の職業と幸福な職業のランキングをもとに、時代の流れをご紹介しましたが、中国で人気が出る仕事のスタイルはどのようなものなのでしょうか。
個人能力の体現
個人の能力やスキル、個性、才能を活かせる仕事が人気を博します。中国人がもっとも大切にするのは、個人の実力です。
昇給昇進によって評価されるよりも、自分ならではの能力を最大限に発揮して、成長を感じられる時に中国の人々は幸福を感じます。
企業の一員として認められてステップアップすることに価値を感じる日本人とは違って、中国人にとって企業はあくまでも実力を発揮する場所であり、能力を提供する環境です。
したがって、組織や会社に従属するような職業ではなく、自由に自己実現ができたり、個人が評価されたりする職業に人気が集まりやすくなります。
日本企業では馴染みのない考え方かもしれませんが、この性質を理解しておかなければ、中国人ならではのポテンシャルを企業活動に活かすことはできません。
社会的信用
個人能力を実現するだけでなく、社会的に信用の高い職業も人気です。職業ランキングで言えば、公務員や官僚、管理職などが該当するでしょう。
世間や親族から見て地位の高い立派な職業が、中国人の自尊心を高くします。また所得が高水準で安定していること、さらには充実した福利厚生が確保されていることなど、様々な側面で手厚くサポートされることも、支持される理由です。
周囲から信頼を集めるだけでなく、尊敬される仕事としても公務員は認識されています。日本でもトップレベルの大学を卒業した者が官僚や公務員として活躍するように、中国でも優秀な人材は公務員を目指すと言われています。
秀でた存在として社会的に認められる職業が、中国人から好まれるのでしょう。
このような性質を理解して、日本企業は中国人の人財を採用・雇用する必要があります。しかし中国人の採用活動に不慣れな場合は、何から手を着ければいいのか不明点ばかりでしょう。
近年では、外国人の採用を専門に扱う企業に依頼するケースも増えてきています。
中国人を雇用する際、専門的な知識と実績を持つ企業に依頼をすることも検討してみてください。
まとめ
中国での「人気職業」と「幸福な職業」ランキングを見てきました。時代とともに人気の職業は変わりながらも、中国人ならではの仕事観は根本的には変わりません。
人気を獲得しやすい職業の性質を理解して、中国人の採用活動に活かしてみてはいかがでしょうか。