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日本における中国人労働者の現状
日本における外国人労働者の数は、増加の一途をたどっています。背景には、政府が企業の人手不足を緩和するために行った数々の施策があります。これからの日本の労働を語るうえで、外国人労働者の雇用は無視できない課題となるでしょう。
外国人労働者の中で最も多いのが中国人です。ここでは中国人労働者の現状をご紹介します。
中国人労働者の人数
2017年10月末の時点で、事業所から届出があった外国人労働者の数は1,278,670 人。うち、中国人が372,263人と最も多く、国内の外国人労働者の実に29.1%の割合を占めています。2位のベトナムの240,259 人と比べても、高い割合です。中国人は製造業から小売業、飲食まで幅広い業種で働いています。
2012年時点で68万人だった外国人労働者は、5年間で約2倍弱に増えました。派遣・請負の外国人労働者数に関しては、2016年時点の237,542 人と比べて36,106 人増え、前年比から15.2%の伸び率を見せています。外国人労働者を雇用する事業所も増え続ける傾向にあります。
このうち、労働者派遣・請負事業を行っている事業所は17,312カ所。当該事業所にて就労する外国人労働者は273,648 人にのぼり、事業所全体の8.9%、外国人労働者全体の21.4%を占める結果となりました。外国人労働者は、日本の経済に必要不可欠な存在になりつつあるのです。
[参照]厚生労働省:別添3 「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(平成30年10月末現在)(PDF)
厚生労働省:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】 (平成 29 年 10 月末現在)
なぜ中国人労働者は多いのか?
増え続ける外国人労働者の中でも、中国人労働者の数は群を抜いています。背景として、1998年2月から、永住者の認定要件が大幅に緩和されたことが 挙げられます。
1998年2月以前は、永住者になるには一定の要件に加え、概ね20年の在日歴が必要でした。しかし、必要な在日歴を10年に短縮したことで、一気に永住資格を持つ中国人が増えたのです。
加えて、多くの企業が深刻な人手不足に悩んでいるという実態があります。人手不足解消のため、政府は外国人の人材や、留学生の受け入れを進めています。それによって、「永住者」や「日本人の配偶者」等の在留資格を持つ中国人の就労が増えているのです。
さらに政府は企業の研修生・技能実習生の受け入れを推奨しています。受け入れ人数は拡大し続ける傾向にあるので、今後はより多くの中国人労働者が日本企業に就労するでしょう。
中国人と日本人の仕事に対する価値観の違い
中国人と日本人とでは、仕事に対する価値観に大きな違いがあります。トラブルを避けるためにも、価値観の違いを理解しておくことが大切です。
ここでは中国人の働き方、キャリアに対する一般的な考えをご紹介します。
働き方について
中国人と日本人では、働き方に対する考えが違います。日本では、与えられた仕事は残業をしてでも終わらせるのが常識です。しかし、中国人に残業という概念はありません。中国人にとって仕事とは、出社から退社までの間にするものなのです。
そのため、勤怠管理も日本人と比べるとルーズです。たとえば、日本のオフィスでは始業の10分前には着席している人がほとんどでしょう。しかし、中国では就業時間が来るまで着席する人はいません。
また、日本人が仕事を重視するのに対し、中国人はプライベートを重視します。1日のうち仕事にかける労力や時間の比率は、日本人ほど高くありません。
中国人は、職場でも他者とはフラットな関係を築きたいと考えています。上下関係を重んじる日本人とは、対人関係の築き方が根本から異なるのです。
中国人に長く働いてもらうには、日本企業のルールを理解してもらう必要があります。中国人が日本の企業でトラブルを起こす、離職するといった事態を引き起こす原因のほとんどは、働き方の違いに対するストレスが原因といわれているからです。
文化の違いを理解しつつ、互いが気持ちよく働ける環境を整えましょう。
キャリアについて
中国人にとって転職はキャリアアップのための手段です。転職するのが当たり前という風潮があるので、一度雇い入れたからといって安心はできません。
日本人は長期的な安定を求める傾向にあります。そのため企業側も育成に力を入れ、社内研修などを積極的に取り入れているようです。学ぶ意志のある社員に、一定の投資を行う仕組みがあります。
それに対し、中国では研修制度がそれほど整備されていません。重要なポジションに必要な人財が採用されるので、即戦力として活躍できる実力を求められます。中国人はひとつのポストにこだわる習慣がないからこそ、転職を繰り返す傾向にあるのです。
中国人に長く勤めてもらうことを考えている場合、続けることのメリットをわかりやすく伝えておくとよいでしょう。
特に給与に関してはシビアなので、金額をしっかり提示すると効果的です。また、キャリアの具体的な未来図が描けるようにサポートすることが、中国人のモチベーションを上げるポイントです。
中国人を採用するためには?
中国人を採用するまでには、いくつかのステップがあります。ここでは採用にあたっての注意点と、具体的な採用方法をご紹介します。
中国人労働者を採用する際の注意点
中国人労働者を迎え入れるには、採用する側も専門的な知識を持っておく必要があります。「外国人雇用状況の届出」の提出、在留資格(就労ビザ)の取得など、まずは必要な手続きを確認しましょう。手続きの確認は雇用する企業の良識であり、ルールです。
中国人を採用する際は、過去の実績を確かめましょう。日本語力が多少不足していても、能力があれば即戦力としての活躍を期待することができます。
同時に本人の適性、得意・不得意を見極める必要もあります。単に日本語が得意であるというだけの理由で採用しても、長く働いてくれる見込みは薄くなります。適材適所の採用を心がけ、互いにメリットを感じられるようにしてください。
職場に適応する力も考慮に入れると、なおよいです。日本語がうまくなくても、周囲に合わせられる柔軟さや、理解力があれば仕事に円滑に進みます。日本語は、日本で働いていれば自然に習得していけるものです。現状よりも、数年後の伸びしろを考えて採用の可否を決めるとよいでしょう。
中国人の採用方法
中国人を採用する方法はいくつかあります。まず、中国人コミュニティとの連携をとる方法があげられます。中国人は各地域にコミュニティをつくっており、横のつながりが非常に広いです。すでに自社や取引先に中国人の従業員がいる場合は、人財を紹介してもらうのもよいかもしれません。
中国語新聞などの中国語メディアに求人を出すのもひとつの方法です。迅速に人財を集めるのに新聞広告は非常に有効です。しかし、多くの人の目に触れるという性質上、希望に沿った人財が集まらないというデメリットがあります。
ターゲット層の人財を確保するなら、中国人に特化した人財紹介サービスを利用しましょう。人財紹介サービスを使えば、求める技能や学歴、日本語能力に応じた募集がかけられます。
まとめ
中国人と日本人の働き方に対する認識の違いを紹介してきました。中国には転職して当然という風潮があるため、長く働いてもらうためにはポイントを押さえておく必要があります。
中国人の特徴を理解すれば、即戦力になる人財を長期にわたって確保できる可能性が高まります。中国人の採用にあたっては、特徴や国柄の考え方を事前に知っておくとよいでしょう。