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中国人が日本のドラッグストアで購入しているもの
一時期よりは減ったものの、ドラッグストアで大量に買い物をする中国人の方々の姿を見かけますね。インバウンド需要から恩恵を受けているドラッグストアの、2017年から2018年の主要企業23社の売上高の合計は、5兆1,154億円となっています。
過去11年のデータを見ても、売り上げがうなぎ登りであることがわかります。
中国人が日本で買っているものを、詳しく見ていきましょう。
中国人は何を買っているのか?
大量にドラッグストアで買い物をする中国人客の対応として、同じく中国人の店員を雇い入れて対応をする店舗をよく見かけます。
日本のドラッグストアで中国人が多くのものを購入する姿から読み取れるのは、日本の家庭薬や日用品が中国人にとって価値が高いものであるということです。
その中でも特に中国人に人気がある商品は「日本に行ったら買わねばならない12の神薬」として、2014年に中国の大手ポータルサイト「捜狐(SOHU)」で紹介された医薬品です。
これらの「12の神薬」はSNSで拡散されたことにより、訪日観光客がこぞって購入するようになったと考えられます。
「日本に行ったら買わねばならない12の神薬」
中国人が来日した際に「買わねばならない12の神薬」をご紹介します。
1 サンテボーティエ/目薬
2 アンメルツヨコヨコ/消炎鎮痛剤
3 サカムケア/液体絆創膏
4 熱さまシート/冷却剤
5 イブクイック/頭痛薬
6 サロンパス/消炎鎮痛剤
7 ニノキュア/角質軟化剤
8 ハイチオールC/ L システイン剤
9 ビューラックA /便秘薬
10 口内炎パッチ大正A /口内炎治療薬
11 命の母A /更年期障害剤
12 龍角散/のど薬
これらが人気の理由は、日本にしかない便利な商品であるため。
例えばアンメルツのように使いやすい容器の形をしているもの、また、液体絆創膏・シート・パッチのように形状がたくさんあって使い分けができるもの。これが日本にしかない便利な商品です。
このように、多種多様な容器の形・薬品形状があるのは日本の技術力の高さと競争率の高さから生まれていると考えられます。中国人は珍しい、中国で見たことのないものを日本に求めて購入していくのです。
中国人がドラッグストアで日本の薬を買い求める理由
中国人が日本で薬を買い求める背景には、中国での病院事情を考える必要があります。
中国では地方の人が病院にかかるのは時間とお金が必要
中国は社会主義であることから、医療制度が整っていると思う人も多いのではないでしょうか。確かに、以前の人民公社においては専用の医療施設があり、無料で診察することができていました。
しかし、近年の中国の医療制度は、私たちが想像するものとは大きく違っています。
中国では日本のように個人院の開設が認められていないのが現状です。そのため簡便な診療所はありますが、診察や治療をしっかり受けようとすると総合病院に行く必要があります。
しかし、総合病院は大都市にあるため、地方に住んでいる中国人は簡単に診察を受けることができません。
立地の問題だけではなく、総合病院は大変混雑しています。まず病院に入るのに入場料を支払い、その後診察の順番までに3時間以上待つこともあるのです。
また医療費は後日返金されるものの、一時的に全額負担する必要があるなど、地方に住む人にとっては、大都市の病院で診察を受けるのは時間とお金が必要であることがわかります。
さらに、診察料や治療費は決まっておらず、大学を出たての医師による診療は安いが、信頼の高いベテランの医師による診療は高額になるという変動があるのも中国の病院の特徴です。
中国では日本と比べて病気になると大変
このように、中国では病気になると日本と比べてはるかに大変な事態になるのがわかります。特に地方の人は大都市に行かなければならず、行ったとしても診察までに時間がかかり、ひどい時には病院の前で門前払いを受けるような状況だからです。
心理的・費用的な面での負担が非常に大きなことから、よほどのことがない限り、病院で治療を受けずに家庭薬で治そうと考える心理が働くのです。
それだけではなく、政府も病院での混雑や負担の大きさを改善し、医療保険の政府負担分を削減するために、できるだけ家庭薬で治療することをすすめているのも理由のひとつです。
そのため日本に比べ、中国の家庭薬への依存度はかなり高いといえます。しかし、中国国内で製造販売されている医薬品には不信感を抱く人も多いため、日本で購入する傾向にあるのです。
医薬品以外のものをドラッグストアで大量買いする理由
医薬品以外にも中国人が爆買いするものはたくさんあります。中国人が日本で商品を購入するのはなぜなのでしょうか。
自分の国で購入するよりも安く買える
欲しいものは自分の国で簡単に購入することができますが、中国人が懸念しているのはその価格です。日本の製品は中国では日本よりも高く売られています。
それは各種税金や代理店・貿易業者による中抜きのウェイトが大きいためです。人気商品の場合、日本の価格の倍以上の価格で、中国で売られていることもあるようです。
中国人は買い物好きであることから、日本の価格を常にネットなどでチェックし把握しています。また、近年の円安の影響や、2014年10月から全品目が免税になったことが爆買いをさらに加速させたといえるでしょう。
周りの人が持っていない物を買う優越感
中国人がドラッグストアで購入する定番商品以外にも、日本でしか手に入らない商品や食べ物を見つけては「微博(中国版ツイッター)」や「微信(WeChat=中国版LINE)」にアップしています。
また親戚・友人に頼まれた商品以外にも、お買い得な商品を見つけてはLINEやWeChatで写真を撮り、友人に知らせ、頼まれれば購入して帰る、ということもあります。
これは自分がより優れた製品を持っている・知っているという優越感に浸る、友人・知人の顔を立てるためと考えられます。
中国は人と人のつながりをとても大切にする国です。そのため日本に旅行に行き、品質の高い日本製品を変わりに購入することで、かなり感謝されるためコネを作ることができます。
つまり、購入した商品をコネのきっかけにするのです。日本製品を購入してくることはかなり有効な手段といえます。
まとめ
中国人が日本で爆買いするようになり、今でもその勢いは衰えていません。中国での病院事情から日本の家庭薬・日用品の需要が非常に高いことがわかります。
人気の商品に偏りはあるものの、日本ならではの商品が新しく発売されれば、また新たなインバウンドの波を引き起こす可能性もあります。
円安の状況が続くうちは、まだまだ中国人によるドラッグストアでの爆買いは続きそうです。