中国人アルバイトをとりまく事情は、2010年を境に大きく変わった!

少子高齢化による人口減少にともなって、労働力不足が深刻な日本における中国人留学生のアルバイトをとりまく事情は、いまや大きく様変わりしています。2000年代と比べると人数が増えているだけなく、中国人留学生が就労先として選ぶアルバイトの業種にも変化が見られます。 中国人留学生のアルバイトをとりまく事情が大きく変化した要因には、日本の少子高齢化のほか、日中の経済格差の変動なども考えられます。 ここでは、周囲の環境についてフォーカスしながら、中国人留学生の就業について見ていきましょう。


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中国人留学生のアルバイト事情

2000年までは日中間の経済格差が大きく、中国人留学生は金銭的に余裕のない学生生活を強いられていることがほとんどでした。

日々の生活費、場合によっては学費の支払いもアルバイト頼み。アルバイト先も、飲食店や新聞配達などで職種的にも限られていました。

しかし、2010年代へ入ると中国経済が成長し、中国人留学生のアルバイトをとりまく事情も大きく変わってきています。

2010年を境に大きく変わったアルバイト事情

日本で働く外国人労働者の数は、2017年10月末に約128万人に達しました。届け出が義務化された2007年には約49万人でしたので、80万人近く増えたことになります。

また、2000年代に6万人ほどだった国内の外国人留学生の数は、現在20万人を超えているといわれます。

近年は中国・韓国に加えて東南アジアの出身の就労者も増加し、たくさんの企業が外国人をアルバイトとして雇用し始めています。外国人留学生数の中で、一番割合が高いのが中国人留学生です。

現在は、仕事の選択肢も拡大し、中国人留学生のアルバイトをとりまく事情は大きく変わっています。

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中国人留学生が選んでいるアルバイトの職種は?

2000年代には飲食店や新聞配達など職種が限られていましたが、中国人留学生のアルバイト先にも以下のような変化が見られます。中国人留学生に人気のアルバイト先と、選ばれる理由を見ていきましょう。

  スーパーやコンビニの販売スタッフ

スーパーやコンビニのレジ業務はさほど難しくありませんし、シフト体制もしっかりしています。商品のバーコードを読み取るだけなのでミスがなく安心、時間の融通が利くなどの理由で多くの中国人留学生に選ばれています。

また、日本語能力を問われるほどの接客も求められないので、特に日本に来たばかりの留学生には人気のアルバイトです。スーパーやコンビニレジのアルバイトは、資格外活動で認められている職種でもあります。

中華料理店のスタッフ

中華料理店のホールスタッフには、中国人のスタッフをよく見かけます。経営者が中国人である店も多く、安心感から中国人留学生のアルバイト先に選ばれやすいです。

中国のどの地域出身かにもよりますが、調理方法にも馴染みがあることが多いです。そのため中華料理店の厨房で調理補助を行う中国人留学生もいます。

2000年代は、中華料理店では日本語の語学力を求められない、との理由からも選ばれていましが、外国人観光客が増えた現在では事情が変わり、場合によってはネイティブ同士の会話が求められることもあります。

中国語による接客ができるという強みを活かせるアルバイト先でもあるのです。

中国語を活かした家庭教師

2000年代とは事情が変わり、中国語を学びたいという日本人が増えています。ネイティブな中国語を話す地域出身であれば、家庭教師をアルバイトとして選ぶ中国人留学生も多いです。

学習内容は日本語で説明しなければならないため、日本語の語学力も必要になります。また、単に中国語を話せるというだけではなく、しっかりとした中国語の文法を習得しているかどうかも問われ、事前に学んでおかなければなりません。

これらが必要なスキルとなるため、語学力に自信のある中国人留学生に向いた選択肢といえるでしょう。レッスン時間は話し合いで決めることができ、時間の融通が利くことからも、人気のあるアルバイトです。

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中国人留学生をアルバイトとして雇い入れるとき

韓国や東南アジアの留学生も増える中、全体の外国人労働者数の実に3割を占める中国人。少子高齢化を迎えた日本では、留学生は労働力としても大きな戦力となっています。

企業が中国人留学生を雇用する大きな理由として、人手不足があることは確実です。しかし、そのような背景以外にも、中国人留学生がアルバイトをする機会が増えたことには理由はあります。

彼らは「日本語をもっと磨きたい」「学費や家賃の支払いに充てたい」「日本式のサービスを知りたい」など、働く目的がはっきりしています。中国人は上昇志向が高く、目的が明確であれば熱心に仕事をする中国人留学生も多いです。

中国人留学生をアルバイトとして雇用するのは、日本人を雇用する場合と比べて、どのような注意点とメリットがるのだろう?と迷うこともあるでしょう。採用に悩んだ時は、この辺りの事情も考慮に入れましょう。

  アルバイトとして働ける外国人留学生の条件は?

中国人留学生をアルバイトとして雇用する際は、労働基準法や最低賃金法など、日本人と同じ法律が適用されますので、注意してください。

労働条件については言葉の壁が問題となり、細かいニュアンスが伝わらず互いの意思の疎通ができていないケースも目立ちます。

確認が曖昧なままに雇用契約を進めると、後で「話が違う」と言われてしまうなどのトラブルの原因となるため、しっかりと確認してください。

契約書や労働条件通知書などの書類は、留学生が最も理解しやすい言語で作成することをおすすめします。中国人留学生を受け入れる際の条件について、まとめます。

・   日本人と同じように、労働契約を交わす必要がある

・   労働の要件を満たしている場合は、保険に加入させる必要がある

・   定められた最低賃金を下回らないようにする

・   有給休暇を与える必要がある

・   よほどの理由がない限り、一方的に解雇ができない

中国人留学生には、出入国管理及び難民認定法が適用されます。入国管理法で、アルバイトを行うことができる留学生は、入国管理局から『資格外活動許可』を得ている人のみと定められていますので、注意してください。

 

「資格外活動許可」の確認方法

中国人留学生を雇用する際には、先に述べた「資格外活動許可」を受けているかどうか、採用側が確認しなければなりません。留学生が該当の許可を受けているかどうか確認するためには、次の方法があります。

・ 書類やシールタイプの「資格外活動許可書」を携帯しているか

・ 留学生が合法的に在留していることを示す「在留カード」の裏面に、その旨が明記されているか

※在留カードの裏面を確認する際は、「資格外活動許可欄」に許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く、と書かれているかどうかチェックしてください。また、在留資格が留学になっているか、在留期間が過ぎていないか、についても確認しておきましょう。

[参照]厚生労働省:届出事項の確認方法について

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まとめ

中国人留学生が、日本でアルバイトとして就労する機会は増え続けています。

留学生の生活環境や就労条件が厳しく、アルバイト先の職種も選べなかった2000年代に比べ、現在は中国人留学生が働きやすい条件が整っているといえます。

「家賃や学費のため」「日本語を学びたい」など、はっきりとした理由で働く中国人が多いので、採用担当者から「採用して良かった」との声も多く聞かれるようになりました。

少子高齢化に伴い、企業の人手不足は深刻です。外国人アルバイトをとりまく事情が大きく変化している今、中国人留学生の採用も日本企業にとっては、選択肢のひとつといえるでしょう。諸条件の配慮や許可書の確認など、押さえておくべき点には注意をはらい採用するようにしましょう。