外国人を面接する際に押さえておきたい「3つの注意点」

人材不足を解決するため、または海外進出を図るために、外国人労働者を採用する企業が増えています。 外国人を雇用する際、メリットもある一方で問題も生じます。その第一関門が、面接です。特に外国人採用にに慣れていない採用担当者にとって、何に注意を払って面接すれば良いのか、不安に思うことが多いのではないでしょうか。 面接で失敗すれば、採用後にトラブルを招いてしまう可能性もあります。円滑に面接を行うためにはどうすれば良いのでしょうか。3つの注意点をまとめてみました。


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注意点1.不法就労でないか確認

何よりも大切なことは、求職者である方が日本国内で就労可能かどうかを確かめることです。

不法就労に該当すれば、採用した外国人が処罰を受けるだけでなく、雇用者も3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金、または両方を課せられる可能性があります。

面接において、不法就労を確認することは重要な作業です。外国人を面接する際、不法就労に該当していないかをチェックするために、確認しなければならない書類についてご説明します。

まずは日本で就業する資格があるか確認

厚生労働省によれば外国人の方は、「出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という)」で定められている、在留資格の範囲内において就労が認められると案内されています。

現在、在留資格は29種類で、就労の可否については次の3種類に分けられています。

・在留資格に定められた範囲で就労が認められる在留資格:19種類
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、技能実習、特定技能、特定活動(外交官等の家事使用人、ワーキングホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者等)

・原則として就労が認められない在留資格:5種類
文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在

・就労活動に制限がない在留資格:4種類
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者

[引用]厚生労働省 政策について

これらの資格が、就労可否について判断をする材料となります。

不法就労か見極めるための書類6つ

面接時、外国人の求職者に持参してもらった方が良いのは、以下6つの書類です。

・外国人登録証明書
・パスポート
・就労資格証明書
・在留カード
・履歴書・職務経歴書
・日本語能力試験の結果

正社員ではなく短期的なアルバイトであっても、不法就労でないかを確認しなければなりません。過去に日本での就労経験がない外国人を雇用する際には、注意を払いましょう。

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注意点2.国籍による差別は禁止されている

2つ目の注意点は、国籍による差別の禁止です。道徳的な理由だけで、差別をしない方が良いという話ではありません。法律によって差別が禁止されています。

したがって、国籍や民族、外見ではなく人物重視の面接を行う必要があります。

採用にまつわる法律

労働基準法や男女雇用機会均等法 、雇用対策法など、多くの法律で特定の人種、国の出自、肌の色で不利となる採用や取扱いが禁じられています。

例えば、労働基準法の第3条(均等待遇)で、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由に賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的な取扱いをしてはならないと定められています。

[参照] 厚生労働省 労働基準法

採用担当者は、法律を順守した採用活動に徹しなければなりません。

採用時に国籍を聞くことはNG?

採用時には、手続き上必要のある場合を除いて、国籍に関する質問は避けましょう。

外国人だけでなく日本人に対しても同様ですが、以下の内容を把握するような質問をしたり、応募用紙等に記載させることは、就職差別につながる可能性があります。

・本籍・出生地に関すること 

・家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)

・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)

・生活環境・家庭環境などに関すること

・宗教に関すること

・支持政党に関すること

・人生観、生活信条などに関すること

・尊敬する人物に関すること

・思想に関すること

・労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること

・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること

[参考]公正な採用選考の基本|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

人材として適しているかどうかで判断

公平な面接を行うためには、人種ではなく人材として適しているか判断をすれば、差別から生まれるトラブルも回避できるでしょう。

特に判断の手がかりとなるのは、保有しているスキルやノウハウ、知識、実績です。会社の求めるレベルに合致しているかどうかを確認します。

例えば、デザイナーやディレクター、ライターなどのクリエイターであれば、今までの作品ファイル、いわゆるポートフォリオを提出してもらうこと。また、実際の案件や課題として納品テスト依頼をしてみても良いでしょう。

高いレベルであれば、即戦力として活躍してくれることも期待できます。

 

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注意点3.就業条件は細かく伝える

最後の注意点は、就業条件について細かく伝えることです。漏れなく伝えることで、事前にトラブルを防ぐことができます。

「聞いていない」とトラブルにならないように

よくあるトラブルは「契約内容の業務と違う」といったクレーム問題です。面接時・入職前に伝えられていない仕事があることで、クレームは発生します。

例えば、工場勤務の場合、どの生産ラインを担当するのか、持ち場は固定なのか、それとも変動することがあるのかなど、何が業務内で何が業務外に該当するかの線引きをはっきりと伝えましょう。

時刻が定まっていない場合や、退勤後にも仕事の対応をしなければならない場合など、時間に関する取り決めも説明しておくことです。

他には、残業時間や有給休暇、昇給昇進に関する情報など、就労に関して丁寧で細かな説明が求められます。

外国人労働者に対しても、気になっていることや不明点がないか、面接時に質問をして解消することで安心してもらえます。入社後も慣れるまでは、気になることはないかなど、気にかけることも大切です。

外国人労働者とトラブルにならないために

事前に対策をしていたとしても、外国人労働者との問題は起こりやすいでしょう。トラブルを招かないためには、採用前の準備・段取りが肝心です。

はじめて外国人を雇用する企業や過去に何らかのトラブルを経験した会社は、自社ですべてを行うのではなく、専門業者に依頼するという方法があります。

外国人採用に不慣れな方でも、派遣会社等に任せれば、安心して雇用することが可能です。

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外国人の面接における3つの注意点を紹介してきました。注意点をしっかり理解して、採用活動をしていきましょう。

外国人の採用に成功すれば、人材不足問題を解消したり、企業の成長が期待できたりといったさまざまな利点があります。

ただ、日本人の場合と同様に、採用したらそれで終わりではありません。入社後は、基礎的な会社のルールやマナー、セキュリティの注意事項などを伝える研修や、教育係・メンターの任命、定期面談などを行い、せっかく採用した人材が定着するよう、教育計画を立てていきましょう。