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外国人採用はまず受け入れ体制が課題
外国人採用を考えている会社は、受け入れ体制が整っているかどうかが最大のポイントとなります。では実際には、どんな環境が必要なのでしょうか?
外国人を採用する目的を再認識しておく
さて、あなたの会社では何のために外国人を採用するのでしょうか。
海外進出をスピーディーかつスムーズにすすめるため。日本人とは違う視点を取り入れ社内を活性化するため。企業によって、その理由は様々でしょう。この外国人採用を行う目的が曖昧なまま採用活動をしてしまうと、のちに企業側と外国人労働者側の考え方に食い違いが発生し、早期退職につながることもあります。再度しっかり確認して採用活動に取り組みましょう。
社内全体に外国人採用について周知しましょう
会社上層部や採用担当者内で、外国人採用の目的が確認できれば、次に社内にもそれを周知することが非常に大切です。会社がなぜ外国人を採用するのか、その先にどのような目標があるのかを社員が共有することで、受け入れがスムーズに進みます。もしも外国人採用に否定的な社員がいれば、時には面談の時間を設け、先入観や誤解を解いていく努力も必要になるかもしれません。
どんな人材を求めるのか
採用の目的が確認できたら、次は求める人材の具体像を明確にしましょう。
単純に、会社に貢献してくれる優秀な人材であれば国籍を問わずに採用したいと考えていても、突出した専門知識・技能を持っているか、語学が堪能か、求める日本語レベルは?など検討する項目は多岐にわたるでしょう。どのようなポジションで採用するかにも大きく関わるので、慎重に検討しましょう。
キャリアアップについてのプラン
相対的にみると、日本人より外国人の方がキャリアアップ志向が強い傾向があるようです。採用の時点で、将来のキャリアプランや昇進・評価の基準を明確に提示することで、入社後のイメージギャップを少なくし、早期離職を防ぐことができるでしょう。
外国人を雇用する方法を知ろう
外国人労働者の雇用は、日本人労働者とは異なる手続きが必要になります。在留資格の有無を確認し、取得している場合は「就労可能なものか否か」を確認するようにしましょう。
不法就労のリスクを回避するためにも、資格の有無を確認することはとても重要です。気づかないまま不法就労の外国人を雇用していた場合であっても「確認を怠っていた」として、過失責任を問われる可能性があります。
そのほか、外国人採用に必要な準備や手続きについて、詳しくはこちらのページをご覧ください。
外国人を雇用するために必要な準備・手続きを知ろう
外国人採用は職場環境も大きな課題
外国人採用を行った際に、能力が活かせないまま会社に定着せず、早期離職になる事態は避けるべき課題です。ここでは、早期離職を回避するための「外国人にとって働きやすい職場環境づくり」について見ていきましょう。
外国人が働きやすい環境づくりを
日本人労働者が働きやすいと感じる職場環境が、外国人労働者と同じものとは限りません。また、近年注目されているダイバーシティ採用などで、多国籍・多様な経歴を持つ人材を集めているような場合、一元化が難しい部分でもあります。
外国人労働者も安心して働ける環境づくりを行うには、企業のサポート体制が重要になります。外国人労働者が社内に加われば、その時点でダイバーシティが実現したということにはなりません。
外国人労働者に加え、時短勤務やフレックスタイム制、育児・介護と両立中のリモートワーカーなども含め、成果を評価し「多様な働き方」を許容することが大切です。
多様な働き方を実現するダイバーシティ雇用や、外国人採用におけるポイントについては、こちらの記事にて詳しく紹介しています。
外国人採用でダイバーシティな企業を実現!押さえるべきポイントは?
お互いに勉強し合うことが大切
日本での生活に慣れない外国人の場合は、生活面でのサポートも必要になる場合があります。ランチ会やレクリエーションなどの機会を設けることで、コミュニケーションが深まり、互いへの理解も進むでしょう。同国出身者の上司や同僚をサポート役としてつけるというのも良い方法です。
また、社内で安心して安全に働いてもらうためには、安全衛生面にも気を配る必要があるでしょう。例えば、労働災害防止に関する標識は母国語で掲示する、緊急災害時に流れる日本語の放送は事前にしっかり理解させるようにする、などです。
その他、各国の宗教の慣習に柔軟に対応することも必要です。お祈りの場所や時間を設けたり、社員食堂ではメニューの選択肢を増やしたり、特定の食材が食べられない外国人にも対応したりする、などの策を取っている会社も出てきているようです。
外国人採用の課題!優秀な人材を見極めるには
では次に、どのように優秀な人材を見極めればよいのか、ポイントをご紹介しましょう。
日本語能力の確認
まず、求める日本語のレベルをしっかり確認しましょう。会社によって、求める日本語のレベルが違うため、面接時に日本語でどの程度のコミュニケーションが取れるかを把握することに加え、日本語の能力試験結果などを提出してもらい客観的なレベルを確認するのも良いでしょう。
インターン期間でコミュニケーション能力をはかる
これは、日本人にも外国人にも共通することですが、面接や履歴書だけではなかなか人物の本質まではわからないものです。そこでおすすめしたいのがインターン期間を設けることです。
面接には誰しもしっかり準備をして臨んでいます。インターン期間中に実際に働く姿を見ることで、日本語能力やコミュニケーション能力など、面接時には充分にわからなかったことも見えてくるでしょう。
実際、母国の企業で申し分ない実績を上げ、面接の時点では評価の高かった人物が、インターンをしてみると実は多くのサポートが必要な人物であった、などの事例もあるようです。
インターンは会社側が採用予定者を見極めるだけのものではなく、採用予定者側も会社への理解を深められ、その後スムーズに会社になじめるというメリットもあります。
違う価値観の理解
また、国が違えば仕事や生活に対する価値観が違うのは当然のこと。世代によっても違いますが、日本では仕事がプライベートより優先、という考え方を持つ人や、そうせざるを得ない場面も多いでしょう。
しかし、プライベートの時間を圧迫する残業については、日本の価値観を一方的に押し付けてしまうと、モチベーションが下がってしまいうまくいきません。お互いの文化や価値観を尊重し合い、気持ちよく働ける雰囲気を作りたいものです。
条件の確認
一般的に、外国人は日本人よりも給与などの条件をしっかり主張すると言われているようです。他に魅力的な条件を出す会社があれば、そちらに流れることも十分ありえます。ですので、採用の段階で、先方が希望する条件とどの程度すり合わせができるか、ということも重要なポイントとなるでしょう。
日本人がよく口にしがちな「やりがいのある仕事」、という言葉は外国人にはあまり響かないようです。魅力的な給与や入社後のキャリアプランなどを提示し、納得して入社してもらうことがベストですが、その際には既存社員との待遇面でのバランスにも配慮が必要となります。
外国人の定着率を上げる仕組みをつくることも重要
外国人労働者が働きやすい環境づくりも大切ですが、定着率を向上させるには社内の仕組みそのものを見直す必要があります。ここでは、仕組みづくりの3つのポイントについて紹介します。
キャリアアップのための道筋を示す
日本企業の多くは、雇用した社員に対して仕事を割り振る「メンバーシップ型」の雇用形態をとっています。一方で、海外では業務をこなすために社員を雇う「ジョブ型」の雇用形態が一般的です。
メンバーシップ型の雇用では、自分の専門外の仕事を割り振られる場合があるため、自分の専門とする業務に集中できないと感じる場合があります。
専門性を持ち、自分のスキルや経験に自信のある外国人労働者が、メンバーシップ型の企業に就職した場合、自分の能力が発揮できず不満を持つこともあるでしょう。
能力が発揮できず、昇給や昇進の評価が適切に受けられないと感じた場合、離職してしまう可能性もあります。対策としては、昇進や昇格の制度について具体的に明示しておくことが重要です。
面接や契約前の段階で、希望の部署やどのような仕事に挑戦したいと考えているのか、などをあらかじめ聞いておくのも一つの方法です。
また、採用方法そのものを見直し、ジョブ型雇用へ切り替える企業も増加傾向にあります。社内のグローバル化やダイバーシティ雇用を進めるのであれば、それに伴い仕事や昇格の仕組みを見直す必要もあるのではないでしょうか。
評価基準を明確にする
評価が正当でないと感じさせないよう、どういった理由で現在の評価なのかを明確に提示できるよう準備する必要があります。
評価基準の明確化は「経験が浅いから」「まだ入社して間もないから」などの理由ではなく、目標達成率や具体的な成果数値などを示す必要があります。
評価基準を明確にし、昇給や昇格のビジョンがクリアになれば、不満の解消だけでなくモチベーションアップにも繋がります。
また、ダイバーシティ雇用を進めるのであれば、外国人労働者に加え、時短勤務や在宅ワーカー、リモート勤務の従業員の評価基準を見直すことも重要です。
外国人労働者や、日本人労働者、時間の制約がある社員などで評価基準を分けず、結果を出していれば同様に評価される仕組みづくりを行いましょう。
メンターを活用する
外国人労働者の定着率を向上させるには、メンターを活用するのも有効な手段です。社内におけるメンターの役割は、仕事のサポートやアドバイス、疑問点などへの対応を行うことにあります。
外国人労働者につくメンターであれば、外国人の対応に慣れており、母国語での会話が可能な人材が望ましいとされています。
外国人労働者は、社内や部署、チームなどに単身で配属されると、言葉の壁や文化の違いなども含め孤立感を抱きやすい環境になってしまいます。
放置していると、結果的に悩みや疑問を抱え込み、離職してしまう事態にも繋がりかねません。メンターは、仕事のサポートを行うことはもちろん、メンタル面のサポート役としても重要といえるでしょう。
メンターとしてサポートを行うのは、直属の上司や先輩以外かつ直接本人の評価に関わらないような、別の先輩や上司などです。
直属の上司や先輩には相談しにくい内容のことでも、気軽に相談できる人物として、別の角度からサポートできる人材が適していると考えられます。
社内でルールを決めておく
外国人労働者が仕事を行う環境について、社内でルール化し、マニュアルを作成するのも重要です。仕事中の共通言語や休憩時間の取り方(一斉なのか裁量なのかなど)を明確に示せるようにしましょう。
また、残業の扱いや会議・取引先とのやり取りにおけるマナーなど、外国人労働者にとってあまり馴染みのない事柄についても記載しておきます。
業務マニュアルというものに、ほとんど接したことがない外国人労働者もいるため、母国語に翻訳するだけでなく、図解を添えるなどの工夫も必要です。
可能であれば、書面でのみ提示するのではなく、メンターによる指導や他の社員との交流時間を設けるなどして、直接人から学べる仕組みづくりも行いましょう。
他の社員と関わることで帰属意識が高まり、信頼関係の構築や意見交換、不安の解消など、幅広くプラスに作用してくると考えられます。
まとめ
外国人採用にあたっての課題、受け入れ側が気をつけるべきポイントについておわかりいただけたでしょうか?グローバル化が進む中、外国人採用の問題は多くの会社にとって避けては通れない課題ではないでしょうか。
イマジンネクストでは、外国籍の社員に長く勤めてもらう環境をつくりたいという会社様向けに、ブラザー(メンター)研修や異文化コミュニケーション研修など、様々な研修プランをご用意しています。ぜひお気軽にご相談ください。