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外国人の採用でどんな助成金が出る?
まずは、外国人の採用で利用可能な助成金について基本的なことから解説します。
助成金の種類
外国人を採用した場合にもらえる助成金には、主に以下の2つがあります。(2024年1月現在)
・トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
・人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)とは
「トライアル雇用助成金」 は、職業経験が浅い事により就職が困難な状況におかれている求職者を、一定期間試用雇用した際に利用できる助成制度のことです。外国人労働者も要件に含まれています。
受給には、以下の要件を満たす必要があります。
・1週間の所定労働時間が30時間以上の無期雇用による雇入れを希望している者であって、トライアル雇用制度を理解した上で、トライアル雇用による雇入れについても希望している者であること
・ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等に求職申込をしていること
・ 対象労働者がハローワーク、地方運輸局または職業紹介事業者の職業紹介日において、次のいずれにも該当しない者であること
- 安定した職業に就いている者
- 自ら事業を営んでいる者又は役員に就いている者であって、1週間当たりの実働時間が30時間以上の者
- 学校に在籍している者
- トライアル雇用期間中の者
・次のいずれかに該当する
- 紹介日前2年以内に、2回以上離職又は転職を繰り返している者
- 紹介日前において離職している期間が1年を超えている者
- 妊娠、出産又は育児を理由として離職した者であって、紹介日前において安定した職業に就いていない期間(離職前の期間は含めない)が1年を超えている者
- 生年月日が1968(昭和43)年4月2日以降で、安定した職業についておらず、ハローワーク等において担当者性による個別支援を受けている者
- 就職支援に当たって特別の配慮を有する、次のa~iまでのいずれかに該当する者
- a生活保護受給者
- b母子家庭の母等
- c父子家庭の父
- d日雇労働者
- e季節労働者
- f中国残留邦人等永住帰国者
- gホームレス
- h住居喪失不安定就労者
- i生活困窮者
・ハローワークや紹介事業者等に提出された求人に対して、ハローワークや紹介事業者等の紹介により雇い入れること
・原則3ヶ月のトライアル雇用をすること
・1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者と同程度であること
参考:「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース |厚生労働省」
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)とは
「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」は、外国人労働者の職場定着のために、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行う事業者に対して、経費の一部を助成してくれるものです。
受給には、以下の要件を満たす必要があります。
・外国人労働者を雇用している事業主であること
・認定を受けた就労環境整備計画に基づき、外国人労働者に対する就労環境整備措置(1及び2の措置に加え、3~5のいずれかを選択)を新たに導入し、外国人労働者に対して実施すること
- 雇用労務責任者の選任
- 就業規則等の社内規程の多言語化
- 苦情・相談体制の整備
- 一時帰国のための休暇制度の整備
- 社内マニュアル・標識類等の多言語化
・就労環境整備計画期間終了後の一定期間経過後における外国人労働者の離職率が10%以下であること
参考:「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)|厚生労働省」
その他の助成金
その他にも、以下の2つなどは日本人従業員と同様に、外国人労働者の場合も利用できる場合があります。
・キャリアアップ助成金
(非正規社員の処遇改善を目的とした助成金)
・人材開発支援助成金
(職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための研修などを実施した際に費用の一部を助成)
対象者の要件など、厚生労働省の情報をご確認ください。
外国人採用で助成金をもらうときに必要な手続き
次に、外国人採用(雇用)において助成金制度を利用する際に必要な手続きについて解説します。
在留資格などをハローワークに届け出る
まず、外国人を雇用する際には、在留資格などをハローワークに届出なければなりません。
届出の対象となる外国人労働者は、以下の要件があります。
・日本国籍を有していない
・在留資格が「外交」「公用」ではない
・「特別永住者」ではない
外国人を採用する際には、パスポートなどを確認させてもらってください。在留資格や在留期間などの確認が必要であり、これに反した就労は「不法就労助長罪」として雇用主が処罰の対象になる可能性があります。
雇用保険を受給できるか否かで書類が違うので注意
届け出に際しては、当該外国人と雇用保険の関係により様式等が異なります。
雇用保険受給できる「被保険者」である場合 は、「雇用保険被保険者資格取得届」と「雇用保険被保険者 資格喪失届・氏名変更届」の提出が必要です。提出先は、雇用保険の適用を受けている事務所を管轄するハローワークになります。
被保険者でない場合 は「外国人雇用状況届出書」の提出が必要です。提出先は、当該外国人が勤務する事業所施設の住所を管轄するハローワークになります。 当該外国人の雇用保険の受給状況により適切な書類に必要事項を記入の上、管轄のハローワークに提出しましょう。
助成金を受けて、優秀な外国人を採用する
助成金を利用できるチャンスやケースがあれば、積極的に利用すると良いでしょう。また、事業者が外国人採用に際して助成金を利用することは、経費削減の面においても対策につながります。
助成金で経費対策にも
ケースバイケースではあるものの、実は、外国人を雇用すること自体、経費対策になりやすいのです。
外国人を雇用することで助成金も受け取れることになり、経費を確保することができます。
その経費を用いて、さらに優秀な(外国)人材を多く採用しやすくなる。この好循環を生み出すことで優秀な人材が揃い、企業の成長の足がかりとなるでしょう。
海外進出を含めた企業の成長を期待するのであれば、積極的に外国人労働者を採用したいところです。
まとめ
外国人労働者を採用することは、それ自体、企業の発展だけでなく助成金の支給という経費削減対策の面でのメリットもあります。もちろん、海外進出の足がかりになる、優秀な人材でイノベーション力の向上になるなどのメリットもありますので、積極的に外国人採用を拡大されてみてはいかがでしょうか。