外国人の採用面接で何を聞く?具体例をお教えします

近年、インバウンド効果も相まって、日本国内での外国人労働者の需要が増えているようです。今後、外国人を採用したいという企業はますます増加するのではないでしょうか。せっかく時間と労力をかけて外国人を採用しても、すぐに離職されてしまったり、法律に抵触するようなトラブルになってしまっては元も子もありません。 今回は外国人の採用面接で確認すべきポイントと注意点をまとめてみました。


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外国人の採用面接で確認すべき書類

外国人を採用する際の大前提は、「確実に本人確認を行い、法律上就労可能な人物を採用する」ことです。万が一、在留資格のない人物を雇用した場合や、在留資格外の業務をさせてしまった場合は、企業側が不法就労助長罪に問われる可能性があります。

このようなことが起こると、入国管理局からの信頼を失い、その後の企業活動に悪影響がでることが懸念されますので十分慎重に進めるべきです。

本人確認と法律上の就労可否を確認するために、以下の書類を提出してもらいましょう。

・外国人登録証明書

・パスポート

・在留カード

・就労資格証明書

・履歴書や日本語能力試験の結果など

これらの書類で、本人確認、就労資格の範囲、在留期間などが確認できます。

就労資格がある場合でも、その範囲を確認することが必要です。所持している就労資格の範囲で新たな仕事の範囲もカバーできるかどうかがポイントとなります。就労資格に関する不明な点は入国管理局に問い合わせましょう。

それ以外でも少しでも疑問に感じる点があれば、躊躇せずに本人に確認してクリアにすることが大切です。

外国人の中には、日本語での会話は流暢にできても、読み書きが苦手な人も少なくありません。履歴書や職務経歴書をよく確認することで、ビジネスレベルの日本語が使えるかがわかるでしょう。また、日本語能力試験の結果などを提出してもらえば、判断材料のひとつとなります。

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外国人の採用面接で確認すべき質問事項

面接という短い時間で相手の能力や人間性を見定めるのは、そう簡単なことではありません。日本人同士でも難しいのです。ましてや相手が外国人となるとさらに難しくなります。

ここでは、限られた時間の中でできるだけ相手の本音を引き出す、面接時の質問のコツをご紹介いたします。

・日本で働く覚悟はあるか?

外国人にとって、日本は数ある外国のひとつにしかすぎません。外国で働いてみようかな、日本のアニメが好きだし日本で働くのもいいかも、というような軽い気持ちの外国人もいないともいえません。このような場合は、仕事で困難に直面したり、少し環境になじめなかったりしたときに、早々に見切りをつけて帰国してしまうということも大いにあり得ます。

その気持ちを確認するためにも、 「なぜ日本で働きたいのか」、「日本で働く理由」を質問してみましょう。生活の必要上から来日した人や、母国ではできない仕事を求めて求職活動をしている人ならば、この質問にはっきり答えることができ、就労後も長期的に働いてくれる可能性が高いでしょう。

・日本で辛かった経験は?

今までの辛い経験や失敗談を質問するのも、対応力を見抜くには有効な手段でしょう。過去の失敗を失敗のまま放置するのか、それともそれをきっかけにプラスに転換できる人物なのかがわかります。

また、この質問では、その人の日本への理解度もはかることができるでしょう。例えば、「来日当初は日本独特の上下関係に苦しんだ」という答えがあれば、本人にとっての日本社会のネガティブな一面も理解していることになります。逆に、この質問に詰まったり特に答えがない場合には、まだ日本の良い面しか見えていないという可能性があります。日本に憧れだけを抱いている人物を採用してしまい、入社後に大きなギャップを感じて早期退職、というようなことを避けられるでしょう。

・なぜこの会社で働きたいのか?

この質問では、相手が求職活動において何を重要視しているかがわかるでしょう。日本で働くのが目的で、他にも日本の会社に応募しているのか、それともこの業界であれば母国や日本以外の国でも働くつもりがあるのかなど、わかることは多いと思います。

採用におけるライバルが日本企業か、外国企業かによって、応募者に対するアプローチの仕方もおのずと変わってくるでしょう。

・専門知識について

過去に同じような業種についていた場合は、専門知識についても確認しておきましょう。専門用語などを使って突っ込んだ質問をするのも良いですし、専門分野についてのテストをするのも良いでしょう。例えばデザイナーならば課題を与え作品を制作してもらう、エンジニアならば簡単なプログラミングを組んでもらう、などです。

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外国人の採用面接での注意事項

外国人の面接では、どのようなことに注意すればよいでしょうか。面接に臨む姿勢や、質問事項以外にも気をつけてチェックしたい点を以下にまとめました。

・国籍によって差別してはいけない

最も基本的なことですが、日本では法律によって、採用時に学歴や性別、年齢、国籍によって差別してはいけないと決まっています。そして、国籍を問わずどんな労働者も、日本で働く限りは日本の労働に関する法律が適用されます。

採用・不採用を決める際には、国籍によって判断するのではなく、個人の能力や適性などから判断しなければならないのです。当然ながら、あなたはどこの国の人だから採用できません、というようなことは法律違反になります。

・日本の面接マナーを守っているか

日本の採用面接には日本ならではのマナーや慣習があります。会社が求める人物像にもよりますが、自社の社風や雰囲気になじめる人材を求めているのなら、日本の面接マナーを学び、実践できているかもチェックのポイントと言えます。自分のスタイルを貫くこともひとつの生き方ですが、違う文化を取り入れて、日本に馴染む姿勢が見えれば、仕事に対しても同様に対応できる人材ではないかと推察できます。

・大げさに言っていることはないか注意深く確認

一般論として、外国人は日本人に比べて、面接時により自分の価値を高めるために過去の成果を大げさにアピールすることもあるようです。日本には謙遜の文化が根付いていますが、外国では謙遜よりも主張をすることが重要であるという文化があるからでしょう。

これが悪いことだとは思いませんが、よく見極めないと、採用後に期待したほどの能力がなかった、と落胆することになりかねません。

これを防ぐために、具体的な数字や資料の提出を依頼するなどして、客観的に能力を確認したり、履歴書に書いてある実績について突っ込んだ質問をすることも重要です。

・就職の条件を事細かく伝えること

特に気をつけたいことが、採用後の条件を事前にきっちり伝えておくことです。

給与など待遇面はもちろんですが、業務範囲も細かく伝えておきましょう。働き出したあとに、この業務は自分の担当範囲外だ、とトラブルに発展する事例も多いようです。

日本人同士のように、「空気を読んで」、「その時の流れで」のような曖昧な態度は通用しないと思ったほうがよいでしょう。

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まとめ

外国人を面接する際のコツと注意点はおわかりいただけたでしょうか?

今後、グローバル化の進行に伴う社内の多国籍化、ダイバーシティ化は時代の流れとして自然なものになるでしょう。そこで、外国人の採用活動をスムーズかつ有意義なものにするために、上記で紹介したような質問事項を事前に検討し、どの質問でどのような本質を見極めたいのか、予め計画を立てておくことをお勧めします。