日本語が話せない外国人とスムーズに仕事を行うための解決策

コンビニやスーパーなど、身近なところで外国人のアルバイトを見かける機会が多くなりました。実際に外国人と働いた経験を持つ人は6割に及びます。 外国人労働者が日本で働く目的のひとつには、日本語の習得があり、日本語が話せない状態で就労するケースも珍しくありません。そんなとき、ともに働く私たちはどのような点に気を付ければ良いのでしょうか。


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外国人と一緒に仕事をする機会は増えている

日本における外国人労働者は、年々増加しています。以下で解説をしていきます。

増加する外国人労働者

2023年10月末時点の外国人労働者数は、2,048,675人だと厚生労働省は発表しています。初の200万人超えです。2012年から10年連続で増加し続けており、今後も日本で働く外国人労働者は増えていくことが予測できます。

[参照]「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

特に大都市圏では、外国人労働者を受け入れる企業も増加傾向にあります。国籍別では、ベトナム・中国・フィリピンとアジア圏の出身者が大部分を占めています。

実際に外国人労働者を受け入れることで、「他国の文化を知るきっかけになった」「交友関係が広がった」「違う視点で意見を言ってくれるため、いい刺激になった」などメリットを感じる場面は多くあります。

対して、デメリットとしてあげられるのは、言葉の壁や文化の違いで、「慣れるまではコミュニケーションが難しかった」ということです。

日本語を話せない外国人と働くことも

外国人と一緒に働くうえで、「スムーズに意思疎通ができない」ことが課題として挙げられます。

言葉の壁があり「伝えたいことをうまく伝え合えない」「言葉にできても、背景にある文化の違いで理解できないことがある」などコミュニケーション方法に頭を悩ませることもあるようです。

スムーズなコミュニケーションを図るためには、できるだけ「分かりやすい言葉を選んでゆっくりと説明する」「ジェスチャーを交える」などの工夫が不可欠です。

くだけた表現は使わずできるだけ教科書通りの日本語で話すと、日本語を勉強中の外国人は理解しやすいでしょう。調査のなかでは、「仕事の作業に関してはこちらが実際にやってみせ、その後同じ作業をしてもらい理解できたかをその都度確認する」という声もありました。

国としても、在留支援のための「やさしい日本語」の活用を促していますので、以下のサイトなどを参考にしてみてください。

在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)

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まずはマニュアルや研修方法の見直し

日本語を話せない外国人と働く上で、準備が必要なものを以下でご紹介します。

マニュアルや社則

マニュアルや社則は、その会社で働く上で基盤となる大切なもの。可能ならば外国人が分かる言語で作り直すことが理想的です。こちらが簡単な言葉で説明しているつもりでも、間違えて受け取ってしまうケースも少なくないからです。

作り直しが難しい場合は、「ゆっくりと分かりやすい言葉を用いて読み聞かせをする」「ふりがなをふって読んでもらう」などの工夫が必要です。分からない言葉はあとで調べてもらうなどの時間を取れば、彼らが日本語を学習するいい機会にもなります。

研修

仕事を教えるときは、「対象物を指差す」「ジェスチャーを交える」「相手の反応を見ながら話す」などを行うと良いでしょう。

一方的な説明や「一度説明したから分かっているだろう」という思い込みは、互いの認識のズレを引き起こします。行動を注意深く見守り、「うまく伝わっていなかったかな?」と感じた場合はすぐに確認を行うことで、ズレは解消できていくはずです。

国籍を限定して求人募集することは労働基準法で禁止されていますが、所在地や周辺環境によって同じ国の出身者を受け入れる可能性は大いにあり得ます。

外国人に対応したマニュアルや研修方法を一度整備しておくことで、次に同じ国の出身者を雇う際には、継続した利用が可能となります。

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日本語が話せない外国人との接し方

日本語を話せない外国人と働くには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。

担当する業務の選び方

日本での生活が浅い外国人は、ひらがなやカタカナを読むことはできても、漢字の読み書きや会話の聞き取りが上手にはできません。相応の語学力が身につくまで、接客対応など複雑なものは見送りましょう。

初めは清掃や在庫管理など、覚えれば一人でできる単純な作業を任せるところから始めましょう。

学費を稼ぐ、日本語を上達させる、母国に住む家族に仕送りをする、など働く目的が明確なため、外国人労働者は仕事に対してとても意欲的に取り組みます。

ともに働く現場のスタッフの協力

外国人労働者を受け入れるためには、ともに働く現場のスタッフの協力は欠かすことができません。

スタッフ間でコミュニケーションが取れるよう、各自スマートフォンに翻訳アプリをインストールする、職場に辞書を準備しておくなどすると役立ちます。

管理者側として必要なことは、まずはマニュアルの整備です。重要な箇所だけでも翻訳しておけば、勤勉な彼らは自身で読み返し理解を深めてくれるでしょう。

飲食店であれば、聞き間違いを防ぐためにメニュー毎に番号をふっておくなどの準備を整えましょう。

文化の違いを伝えよう

「言語の違い」と同様に、「文化の違い」にもまた外国人労働者は戸惑うもの。日本の職場には、独自のマナーや暗黙のルールが数多く存在します。

私たち日本人が当たり前にやっていることでも、彼らにとっては馴染みがないこと。私たちが「常識」と思うことを、その理由や背景から教えてあげましょう。始業時間に遅れてはいけない、何らかの事情で休むときは事前に連絡する、なども該当します。

叱り方、褒め方にも注意が必要です。日本人の若者は怒られ慣れていないため、大声で叱咤することなどを避けている人が多いでしょう。しかし、外国人留学生の場合は日本語が未熟なため、表情やジェスチャーなどを用いて怒っていることを伝えることが重要です。

怒っていることを態度で示しつつ、ゆっくりとした口調で「なぜ怒られているのか、何を間違えたのか」を理解してもらいましょう。さらに彼らは、大勢の前で叱られることを嫌う傾向があります。バックヤードなど1対1の場面で冷静に指導してあげてください。

一方で、褒めるときには他のスタッフの前が効果的です。生活態度をあらためてほしいときは行動を正し、過保護にならないよう一定の距離を保ちましょう。特別扱いが過ぎると、他のスタッフから不満が出て、職場環境が悪くなってしまう恐れがあります。

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まとめ

仕事に対して意欲的で、勉強熱心な外国人労働者。労働力が不足している日本では、今後も活躍が期待されるでしょう。

ゆえに外国人労働者を戦力として雇用している企業は多くあります。

国が違えば、多くの場面で認識が異なるのは当然です。同じ日本でも土地柄によって言葉や慣習が大きく違います。その違いをしっかりとお互いが理解することが大切です。

また、日本で働く外国人労働者は多いですが、日本語が流暢な人、日本の慣習に慣れている人もいれば、まだ不慣れな人もいます。

そんな日本での生活が浅い外国人には、ジェスチャーや翻訳アプリを使ってコミュニケーションを図ることで、彼らとの距離を縮めることができます。

同時に私たち日本人の「語彙力が上がる」「諸外国の文化に触れることができる」などの利点もあります。仕事をするうえで重要なマニュアルの整備は、一度取り組めば今後も継続して利用することができます。

新しいことに取り組むことは、越えなければならないハードルが登場します。しかし、それを乗り越えることで計り知れないメリットが享受できることでしょう。

忙しくて手が回らない、人手が足りないといった場合は、マニュアルの作成や、従業員の研修を外部に委託するという方法もあります。イマジンネクストでは、人材教育の企画・コンテンツ制作・研修実施が可能です。ぜひご相談ください。