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外国人を採用した後に届出は必須!
企業が外国人を採用するにあたっては、採用後に必ず「届出」が必要です。届出をしなかった場合には、罰金などの処罰が適用されるので注意しなければなりません。また、期限も定められているので、その点にも注意しましょう。
外国人を採用した場合、事業主は必ず届出をすることが必要
雇用対策法にて、外国人を「雇用した際」もしくは「離職した際」に、名前と在留資格や在留期間を確認したうえで厚生労働省に届出を提出することが、義務付けられています。
なぜ届出が義務化されているのかというと、一昔前までの外国人労働者の雇用環境に問題があったからです。以前にも外国人雇用の際の届出制度はありましたが、義務ではなく任意での届出でした。結果、不法就労の温床となり、外国人に対して劣悪な労働条件・環境を強いる事業者が少なくなかったのです。
届出の対象となる外国人は、日本国籍を有しない人で、在留資格が「外交」「公用」以外の人となる
この届出の対象となるのは、日本国籍を有していない人の中で在留資格が「外交」または「公用」ではないことが条件となります。また、在留資格が「特別永住者」の場合も届出の対象になりません。
届出を怠った場合は30万円以下の罰金となる
外国人の雇用および離職の際の届出は義務となります。これを怠った場合、雇用主は30万円以下の罰金を課せられるので注意が必要です。
正社員以外でもハローワークに届け出る必要がある
この届出は、「正社員」としての雇用および離職はもちろん、「アルバイト」などの非正規雇用の形態であっても必要になります。
外国人を雇用した際の届出方法
外国人の雇用に関する届出は、大きく分けて2種類あります。雇用する外国人の属性に応じて必要な方法が異なりますので、正確に把握しておく必要があります。
雇用保険の被保険者となる場合
採用する外国人が雇用保険の被保険者となる場合には「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しなければなりません。
届出事項は以下の通りです。
①氏名
②在留資格
③在留期間
④生年月日
⑤性別
⑥国籍・地域
⑦資格外活動許可の有無
⑧雇入れに係る事業所の名称および所在地
⑨賃金その他の雇用状況に関する事項
⑩住所
⑪離職に係る事業所の名称および所在地
届出先:雇用保険の適用を受けている事業所を管轄するハローワーク
届出期限:雇入れの場合は翌月10日まで、離職の場合は翌日から起算して10日以内
雇用保険の被保険者にならない場合
採用する外国人が雇用保険の被保険者とならない場合には、「外国人雇用状況届出書」を提出しなければなりません。届出の際には採用する外国人の在留カード、またはパスポートなどの提示などが求められるので注意してください。
・届出事項
①氏名
②在留資格
③在留期間
④生年月日
⑤性別
⑥国籍・地域
⑦資格外活動許可の有無
・届出先:当該外国人が勤務する事業所施設の住所を管轄するハローワーク
・届出期限:雇入れ、離職の場合ともに翌月の末日まで
[参考]厚生労働省ホームページ
届出の注意点
外国人の雇用における届出において、いくつかの注意するべきポイントがあります。それは「雇い入れる外国人の状況」です。知らなかったで済まされることではなく、外国人を雇用する際には「在留資格」と「在留期限」をきちんと確認しなければなりません。
在留資格の有無
1つ目の注意点は、雇い入れる外国人の「在留資格の有無を確認すること」です。当該外国人が、就労できる資格を持っているかどうか確認してください。「留学」や「家族滞在」などは就労不可です。
就労不可であるにかかわらず当該外国人を雇用した場合には、雇用主に対して「3年以下の懲役」もしくは「300万円以下の罰金」が課せられます。在留資格には、就労の可否の観点から見ると3つの分類が適用できます。
・定められた範囲内で就労が認められる在留資格
外交:外交使節団や領事機関の構成員など
公用:政府が承認した外国政府もしくは国際機関の公務
教授:日本の大学もしくはそれに準ずる機関等での研究や指導、教育活動
芸術:収入を伴う音楽や美術、文学などの芸術上の活動
宗教:外国の宗教団体により日本に派遣された宗教家の行う布教活動等
報道:報道機関との契約に基づいて行われる取材等の活動
高度専門職:「1号」と「2号」がある。研究・教育活動や自然科学の知識を必要とする活動等
経営、管理:貿易その他の事業の経営またはその管理に従事する活動
法律、会計業務:外国法事務弁護士や外国公認会計士など
医療:医師や歯科医師その他の医療に関わる業務に従事する活動
研究:日本の機関との契約に基づいて行われる研究に従事する活動
教育:日本の教育機関において語学教育等を行う活動
技術、人文知識、国際業務:理学、工学その他の自然科学の分野等に従事する活動や、企画、営業、経理などの事務職、エンジニア、通訳、デザイナー、語学講師など
企業内転勤:日本にある本店支店その他の事業所に期間を定めて転勤して行われる活動
介護:日本の機関との契約に基づいて行われる介護またはその指導に従事する活動
興行:演劇や演奏、スポーツ等の興行に係る活動またはその他の芸能活動
技能:日本の機関との契約に基づき行う産業上の特殊な分野に属する技能を要する活動 外国料理の調理師やスポーツ指導者など
特定技能:特定産業分野の各業務従事者
技能実習:「1号」「2号」「3号」がある、技能実習生など
特定活動:法務大臣が個別の外国人に対して指定する活動 外交官などの家事使用人、ワーキングホリデーなど
・原則として就労が認められていない在留資格
文化活動:収入を伴わない学術上または芸術上の活動または文化や技能の研究等
短期滞在:日本に短期滞在して観光や保養、スポーツ等を行う活動
留学:日本の教育機関において教育を受ける活動
研修:日本の機関により行う技能等の修得活動
家族滞在:単独の在留資格を持つ者の扶養を受ける者
・就労に制限のない在留資格
永住者:法務大臣が永住を認める者
日本人の配偶者等:日本人の配偶者または特別養子等
永住者の配偶者等:永住者等の配偶者または特別養子等
定住者:法務大臣が在留期間を指定して居住を認める者
在留期間の確認
次に「在留期間を確認すること」です。在留資格には在留期間が定められており、期限が満了する前に本人が更新手続きをする必要があります。 有効期限が切れたまま就労すれば「不法滞在」とみなされることがあるのです。
さて、2つの確認項目について説明しましたが、そのどちらかでも欠けている(就労可能な在留資格ではない、または在留期間が満了して更新していない)外国人を雇い入れると、雇用主が法的責任の対象になる可能性があります。
入管法では「不法就労助長罪」という規定があり、懲役3年以下または罰金300万円以下(もしくはその両方)が科せられます。ただし、当該外国人の不法就労に関して雇用主に責任がない場合には、その限りではありません。
ですが、確認を怠った場合などは処罰の対象となる可能性があります。在留資格は、以下の方法で確認できます。
・外国人登録証明書
・パスポート面の上陸許可
・在留資格変更許可
・在留期間更新許可証印
・就労資格証明書
・最寄りの地方入国管理局に照会
まとめ
外国人を雇い入れる場合、届出をしなくても、就労資格を有していない外国人の雇い入れは、処罰の対象になる可能性があります。雇用の際には必要な届け出や確認を怠らないようにしてください。ただ、このような外国人雇用のための届け出とそれに関する手続きは非常に煩雑で、慣れていないと戸惑うことも多いでしょう。手続きなども代行してくれる人材派遣会社や専門業者に頼ることも検討してみましょう。