日本の外国人観光客はますます増加!今後国内にどんな影響を与える?

2005年には約673万人だった日本を訪れる外国人観光客の数は、年々増加の一途をたどり、2018年には約3,120万人にまで拡大しました。わずか13年間の内に、4.5倍以上も日本を訪れる海外からの観光客は増加したのです。その後新型コロナの影響で大きく減少したものの、2023年に入ってからは外国人観光客が2500万人にまで戻りました。 さらには円安の影響もあり、外国人観光客はますます増えると考えられます。 それでは日本を訪れる外国人増加によってどのような影響があり、各企業にはどのような課題が生まれるのでしょうか。


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外国人観光客が増加する背景

都内で暮らす人や通勤する人は、最近「外国人観光客が多すぎる」と感じることが増えたのではないでしょうか。

円安の影響も追い風となり、日本はますます多くの外国人観光客にとって魅力的な目的地となっています。

数字で見てみると、2023年の訪日外客数は2506万人で、コロナ禍に入る前の2019年の訪日外客数3,188万人ほどはいかないものの、順調にインバウンド回復の兆しが見られました。

2024年に入り、3月・4月・5月の3か月連続で300万人を突破しており、過去最高のスピードで外国人観光客が増加しています。

過去の傾向をみると、3~7月が特に観光客の多い時期となっています。

 

訪日外国人観光客の増加要因

日本への訪日外国人観光客が増加している理由には、どのようなものがあるのでしょうか。

1.観光インフラの整備と向上

近年、日本では観光インフラの整備が進み、外国人観光客向けの受け入れ体制が強化されています。空港や交通インフラの改善、観光案内の多言語化、外国人旅行者向けの宿泊施設や飲食店の増加などが挙げられます。

2.他国の経済的成長と富裕層の増加

世界的な経済成長に伴い、多くの国々から訪日する外国人観光客の数が増加しています。特にアジア諸国の中流階級や富裕層からの訪日が増えており、観光消費の増加に寄与しています。

3.日本旅行のリーズナブルさ

現在の円安の影響も、外国人観光客の増加要因の一つとなっています。買い物や食事、ラグジュアリーホテルへの宿泊など、日本での消費が促進されています。

4.外国人観光客へのビザ発給の緩和

日本政府は、特定の国々からの短期滞在の外国人に対するビザの緩和を進めてきました。これにより、ビザ取得の手続きが簡略化され、訪日外国人観光客の増加が促進されています。

5.人気の観光地と文化的魅力

日本は伝統文化や食文化、自然景観など多彩な観光資源を持っており、これらが外国人観光客の関心を引きます。特に京都や東京、大阪、北海道などの人気観光地は多くの外国人観光客が訪れます。

6.交通の便利さと安全性

日本は交通の便が良く、公共交通機関の充実した国として知られています。また、治安が良く安全な国としても認知されており、外国人観光客が安心して旅行できる環境が整っています。

 

日本観光の人気が高まる理由

日本が旅行先として人気を集める理由についてもみてみましょう。

1.食文化

日本の食文化は世界的に高く評価されており、寿司や和食、ラーメンなどがその代表例です。外国人観光客は、地元の食材を使った料理や、繊細な調理法に興味を持ち、食を通じて日本文化を体験したいと考えています。

2.世界遺産登録

日本には多くの世界遺産があり、その中には外国人観光客にとって大きな魅力となる場所が数多く含まれています。例えば、京都の古都や奈良の大仏、富士山などが外国人観光客にとっての必見スポットです。

3.アニメ・マンガ文化

本のアニメやマンガは世界的なファンを持ち、これに関連するスポットが観光地として人気を集めています。例えば、秋葉原やお台場などは、アニメやマンガファンにとって聖地とされています。

4.四季折々の美しさ

日本は四季折々の自然美が楽しめる国としても知られています。桜の花見、紅葉の名所、雪景色など、それぞれの季節によって異なる美しさが訪日外国人観光客を魅了しています。

 

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外国人観光客が増加することによって生まれる課題とは?

外国人観光客の増加は、日本の観光業などの産業の活性化、日本経済の拡大に良い影響を与えてくれます。実際に、日本での外国人観光客の増加をビジネスチャンスに考えている企業もあるでしょう。

しかし、良い影響がある反面、さまざまな課題をクリアしないと、継続的な需要は見込めません。外国人観光客の増加で表面化した課題のうち、主な課題を解説します。

観光業界の多言語化対応の必要性

ひとつ目の課題は、外国人観光客が増えることによって、日本人向けの対応では追い付かなくなるということ。円滑なコミュニケーションでトラブルを減らすには、多言語化と異文化への理解が必要になります。

地方や規模の小さい宿泊施設では多言語化の表示が少ないなど、外国人観光客が安心してサービスを利用できないのが現状です。

多言語化に対応できていないと、使い方が分からなかったり、システムが理解できなかったり、不要なトラブルを招く原因にもなります。

 

異文化への理解と日本のマナーの周知

受け入れ側の日本人、訪問側の外国人共に、異文化に対する理解が少ないことによる問題も起こっています。

日本独自の考え方や習慣のために、単純に知られていないといったことが多くあります。

例えば、日本では湯舟につかることが当たり前ですし、温泉など公共の風呂でのマナーも親から教わって知っている場合が多いです。
しかし、海外では湯舟につかる人や地域は非常に少なく、基本的にはシャワーです。
公共の風呂がある場所もありますが、水着を着て入るスパのような感じになっていたりと、日本とは勝手が違います。

そのため、風呂あがりに脱衣所に入る前に体をふく、といった些細なことでも、お風呂場に明示をしておくといった工夫が必要なのです。

インフラへの負荷

観光地の交通や宿泊施設、公共施設などのインフラが観光客の急増に対応できず、過負荷状態になることがあります。例えば、交通渋滞や宿泊施設の混雑、トイレやゴミ処理施設の不足などが挙げられます。特に東京や大阪などの大都市圏は人が集中しがちで、常に高稼働状態です。仕事の出張のためにホテルを宿泊しようとすると、空いていない・高すぎるといった状況が多々起きています。

環境への影響

外国人観光客の増加により、自然環境や文化遺産が過度に負荷を受けることがあります。観光地の自然景観や生態系、歴史的建造物などが破壊される可能性があります。

地域社会への影響

外国人観光客の増加により、地元住民の生活や文化に対する影響が懸念されます。例えば、地価や生活費の上昇、地元の伝統や文化の変容、地元住民も使用する交通の混雑、ポイ捨てや立ち入り禁止区域への侵入などが考えられます。

観光資源の持続性の問題

過度な観光客の流入が、観光資源の持続可能性に影響を与える場合があります。例えば、観光地の自然環境や文化遺産の過度な消耗や損傷が懸念されます。

地域経済の依存度の問題

観光業が地域経済の主要な収入源となることで、その依存度が高まることがあります。外国人観光客の数に大きく左右される経済リスクが生じる可能性があります。

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外国人観光客の増加による課題解決はどのようにして行う?

外国人観光客の増加は、観光業界にとって大きなチャンスでありながら、同時にさまざまな課題をもたらすことも事実です。では、これらの課題をどのように解決していくべきでしょうか?以下に具体的な対策を示します。

外国人を採用をする

外国人観光客増加を受けて、企業や組織でできる解決法のひとつが、外国人採用に力を入れることです。

多言語化対応のために、外国語が話せる日本人、外国の文化を理解している日本人を採用するのも方法のひとつですが、よりきめ細やかな対応を考えたとき、外国人の採用も候補として考えられます。

訪日外国人に対してスムーズに対応できるようになるほか、同じ言語が話せるスタッフあるいは文化を理解してくれるスタッフがいることは、外国人観光客にとって安心できるポイントになります。

ゲストハウスや民泊の増加

宿不足解消のため、2018年6月15日より住宅宿泊事業法が施行され、個人単位での宿泊事業が行いやすくなりました。

必要な要件さえそろっていれば、実際に住んでいる場所、あるいは普段入居者を募集している賃貸物件さえも宿泊施設として活用できるようになったのです。

さらに、こうした民泊などの増加を後押ししたのが、外国人観光客のニーズの変化。過去には日本製品の購入を目的とした外国人観光客も多かったのですが、モノではなく日本の文化やレジャーなど体験するコトの消費に需要が伸びています。

ゲストハウスや民泊は、ホテルとは違い、実際の日本の住居を体験できる場にもなりますし、ホテルよりも安価であることから多くのビジネスチャンスを生み、各地で広がりを見せています。

オーバーツーリズム対策

過度な観光客流入による負荷を軽減するためには、人気の観光地での入場制限や時間帯制限を設けたり、過度な集中を避けるために新たな観光地の開発を促進するなどが考えられます。

外国人観光客のマナー向上策

例えば宿泊施設の設備の使い方や浴衣の着方、無料で提供しているものなどは、日本人にとっては当たり前のことなのでどこにも書かれていないことがほとんどです。英語でガイドブックのようなものを作成したり、見やすいところに掲示するなど、日本語&日本文化を知らない人が利用する前提で「何がわかりにくいか?」を考えてみましょう。

 

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外国人観光客増加の対策には外国人採用と人材教育がおすすめ!

外国人観光客増加における対策について紹介してきました。どの観光施設や宿泊施設、飲食店など、どのインバウンド関連事業においても重要で、かつできるだけ早急な対策が望まれるのが、外国人観光客がより安心して、リラックスして滞在できる環境づくりです。

先ほど紹介したような表示・ガイドブックの多言語化も重要ですが、一番大きな柱となるのはそこで働く「人」です。

お客様の国籍に関わらず、「どうしたら快適に過ごしてもらえるか」「お困りのことはないか」を相手目線で考える、おもてなしの心に勝るものはありません。

訪日観光客の目線を理解できる外国人従業員の採用や、既存社員の接遇マナー研修など、従業員の育成が今後のインバウンド対応の要となり、サービスの差別化にも影響を及ぼしていくでしょう。

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まとめ

日本を訪れる外国人観光客の増加によって、経済効果などのさまざまな恩恵が得られる一方、数多くの外国人観光客にどのように対処するのか対策が急がれています。特に注目すべきなのは、外国人観光客に対していかにスムーズにコミュニケーションを図るかです。

外国人労働者の採用も視野に、社内におけるグローバル化を図っていきましょう。