目次
外国人採用の手続きの流れ
外国人を採用する際の手続きや、流れをご紹介します。
手順通りに行えば、問題なく雇用契約を結ぶことが可能です。しかし就労ビザの審査については、時間がかかるため注意を払わなければなりません。審査に要する期間も、確認しておきましょう。
採用の手続きの流れ
(1)面接・内定
就業を希望する外国人財の面接を行います。面接時に大切なのは、お互いに納得できるレベルまで話すことです。「雇用主である企業が求める人財像であるか」「外国人側も納得して入社できるか」など、入社後にトラブルがないように合意をしておきましょう。
企業に適した人財だと判断できれば、面接を行った後内定を出します。内定後に作成をするのが、雇用契約書です。
(2)雇用契約書の作成
雇用契約書には、業務内容や雇用条件、就業内容について明確に記載します。外国人労働者と雇用主が、どちらも合意できることが必須条件です。
(3)就労ビザの申請
雇用契約書が完成すれば、就労ビザを申請します。短期滞在を目的とする観光ピザではなく、長期的に就労できるビザを取得しなければなりません。
就労ビザの許可は、入国管理局によって審査されます。
(4)各種保険・年金の手続き
健康保険・労災保険・厚生年金などの手続きは、採用時ではなく、社員分をまとめて納付をする形になりますが、在留カードやパスポートなどの必要書類がいるので、入社時に準備しておいた方が良いでしょう。
(5)就労開始
(1)~(3)が完了すれば、就労開始となります。(4)は入社後でも構いませんが、雇用後はハローワークに法律で届け出が義務付けられています。
具体的には、外国人を採用した旨を、ハローワークを通して厚生労働大臣へ報告します。届け出を怠った場合は、30万円以下の罰金が課されるので、必ず行うようにしましょう。正社員だけでなく、アルバイトや非正規社員も対象となります。
また、採用時だけではなく、外国人労働者が離職をする際にも届け出は必須です。
就労ビザの審査に注意!
就労ビザは、外国人労働者が日本国内で90日以上の滞在をして、報酬を得る活動をする際に申請が必要となる在留資格です。就労ビザがなければ就労資格はなく、就労できる有効期間も定められています。
審査にかかるのは、約1カ月が目安です。早ければ2週間ほどで審査は完了しますが、場合によっては、2~3カ月かかるケースもあります。4月においては多くの企業が新入社員を迎えるため、入国管理局が混雑するので注意が必要です。
ピークを想定した上で、採用や面接のスケジュールを組むことが求められます。
外国人採用をする際に必要な書類は?
同じ外国人労働者を雇う場合、国内にいる留学生や転職者を採用する場合と、国外にいる外国人を受け入れる場合では、採用フローがほとんど同じでも必要な書類が異なります。
それぞれで用意すべき書類をご紹介しておきましょう。
国内にいる外国人を採用する場合
日本人に滞在する外国人転職者または留学生を採用する場合、以下の書類が必要です。
・在留カード(または外国人登録証明書か特別永住者証明書)
・パスポート(また在留資格証明書)
・卒業見込みまたは卒業証(留学生の場合)
・在留資格変更許可申請書(留学生の場合)
・就労資格証明書交付申請書(転職者の場合)
これらの書類以外に、申請取次者が申請する場合は、身分を証明する書類を用意します。
国外にいる外国人を採用する場合
海外から外国人を受け入れる際、在留資格認定証明書を日本の入国管理局へと申請します。必要となる書類は以下の通りです。
・写真2枚
・在留資格認定証明書申請書
・雇用契約書
・企業謄本・損益計算書のコピー
・決算報告書のコピー
・事業内容を明らかにする資料(会社のパンフレット等)
・採用予定者(外国人)の履歴書
その後は発行された在留資格認定証明書を採用予定者に送付して、外国人本人が現地の日本大使館で就労ビザを申請する流れとなります。
[参考]厚生労働省・外国人を雇用する事業主の方へ 外国人雇用はルールを守って適正に(令和4年6月版)
[参考]入国管理局・各種手続き案内
雇用契約書を作成する場合の注意点
外国人採用をする際の必要書類を紹介しましたが、滞りなく入社までの準備をするためには、事前の段取りが肝心です。
書類作成や申請時に時間をロスする可能性もあります。雇用契約書を作成する場合の注意点も確認をしておきましょう。
書類は採用者がわかる言語を使用!
雇用契約書に対する意識は、日本人よりも外国人の方が高く持っています。海外では、契約内容を細かく明確化するのが慣例となっているためです。
例えば残業や休日出勤について、雇用契約書に記載がなければ、勤務を依頼したとしても外国人には対応してもらえません。
雇用主は、日本人を採用する時よりも報酬や給与、休暇、労働時間について、具体的に書面化することが求められます。
雇用契約書に記載された契約内容でお互いが合意するために、日本語だけではなく外国人の母国語でも作成しておきましょう。
日本語と外国語の2種類を作成しておくことで、外国人本人が書面の内容に同意できるだけではなく、採用後のトラブルにも対応が可能です。
雇用契約書が問題なく作成できても、就労ビザの取得や雇用保険関係の手続きで時間を要するケースがあります。例えば雇用保険は、外国の失業保証制度の加入状況によって、適用されるかどうかが影響します。
労災保険は国籍関係なく、日本の法律で加入が義務づけられているため避けることはできません。健康保険についても対象となれば加入手続きをしなければならないので、雇用保険の手続きで必要以上の手間がかかる恐れがあります。
日本国内だけではなく、海外の保証制度に関する知識が問われるケースも考えられます。
外国人採用の際はどこに相談すればいい?
各種手続きにおいて、高度な知識が求められる場合、外国人採用を専門とした機関や企業に相談することでスムーズに運びやすくなるでしょう。
弁護士や行政書士の事務所やハローワーク、入国管理局、外国人採用求人会社などがあげられます。
手続き関係が複雑である外国人採用。実績のあるプロにお任せすれば、安心して採用に踏み切ることが可能です。
まとめ
日本国内に在留する外国人を採用するケースと、海外から外国人を受け入れるケースにわけて、外国人を採用する際の必要書類をご紹介してきました。
必要書類の準備がスムーズにできても、雇用契約書の作成や就労ビザ、雇用保険の申請において、手間がかかる可能性が大いにあります。