外国人観光客の急増に対応する方法とは
昨年頃から、街で見かける外国人観光客の数が「大幅に増えた」と感じる人は多いのではないでしょうか。
日本を訪れる外国人観光客は2011年以降右肩上がりで増え、2018年には3000万人を超えました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で一時は大幅に訪日客が減りましたが、ようやく水際対策が緩和され、各地には観光客の姿が戻ってきました。
近年は、日本へのリピーターも多く、東京大阪京都といったメジャーな観光地だけでなく、北海道や沖縄、広島など、日本全国に観光客の姿が多く見られます。
2024年に入り、3月・4月・5月・6月の4か月連続で300万人を突破しており、過去最高のスピードで外国人観光客が増加しています。
今回は、外国人観光客をスムーズに案内するための方法や、インバウンドを受け入れるためのポイントについて考えてみましょう。
[参照]日本政府観光局 月別・年別統計データ(訪日外国人・出国外国人)
コミュニケーションの課題
日本の観光地が外国人観光客を受け入れるにあたり、まず困っているのがコミュニケーションです。日本人の多くは外国語をスムーズに話すことができず、案内やサービスをするにあたり苦慮する場面が多いようです。
特に、小売店や飲食店など外国人の方が観光するために欠かせない場所でのコミュニケーションの問題が多発しています。
外国語に対する自信のなさや消極的な日本の国民性もあいまって、相手に誤解され、GoogleMapなどの口コミに「外国人に対して冷たい態度をとってきた」などと書かれてしまうこともよくあります。
言葉が通じなくても、一生懸命伝えようとする姿勢や、Welcomeの気持ちを表す笑顔などがあれば、外国人観光客にとっては嬉しい体験になるはずです。
表現のわかりにくさ
訪日外国人観光客の国籍は、中国や韓国をはじめとしたアジアの国々や、欧米各国など非常に多岐に渡っています。最近では、街中の案内表記が英語に加え、中国語や韓国語なども見られるようになってきました。
それでも、まだまだ多言語の対応は追いつかず、訪日客の中で、もし英語が話せないというような場合は、現在の言語表記だけでは理解しづらいといったことがあるかもしれません。言語や文化の違いを乗り越え、日本のマナーを共有し守ってもらうためにも、多言語表現は必須と考えられます。
この先、日本では大阪万博なども開催されるので、多言語表記やイラストなどを取り入れた分かりやすい案内表示が求められています。
通訳ガイド制度の変化
2018年1月、通訳案内士法が改正され、国家資格がなくても有料で通訳ガイドが可能になりました。
これにより、通訳案内士の資格がなくとも観光ガイドを行うことができるようになり、外国語に対応できる人材が増加することが期待されています。
この法改正の背景には、外国人観光客の増加と、英語以外の言語に対応できる通訳案内士が少ないという問題がありました。特に英語以外の言語に対応できる通訳案内士が不足していることが、法改正の要因の一つです。
外国人観光客をスムーズに案内するために!
年々増加する外国人観光客には、できるだけよい思い出を多くつくって母国へ帰ってほしいものです。言語の壁によって日本のイメージが悪くなってしまうのはとても残念です。お互いにストレスのない案内を可能にするためにはどのようなアイディアが考えられるでしょうか。
多言語対応の実施
スムーズな案内のために、タブレット端末による案内を取り入れるという方法があります。タブレット型の通訳サービスなら多言語に対応することができ、情報量も非常に多いため多種多様な観光客のニーズに応えやすく、導入のハードルも比較的低いと考えられます。
また、人間による案内そのものを減らすために、メニューや看板を複数の言語で表示するという方法も有効です。飲食店での食べ物の詳細や、道路標識や地図案内など、外国人観光客に必要な案内が多言語表記されていれば、スムーズな観光を後押しすることができます。
メニューの場合は、文字だけでなく写真を必ず載せることで、外国人が選ぶ際の助けになります。
外国人スタッフの採用
多彩な訪日外国人の方々に対応するには、同じく多彩な外国人の方々を採用するという方法もあります。もともと外国で生活していたバックグラウンドがあれば、その習慣や文化に精通しているため、観光客の方にとっても受け入れる側にとってもストレスのない案内が可能になります。
また、日本で就職を希望している外国人の方々は総じて適応能力が高いという面があります。日本で働こうと考える方々の多くが、何かを学んだり取り入れたりしようという気概が強く、勉強熱心な方が多いため基本的な能力が高いといわれています。
加えて優秀な若年層の採用を期待できるという点も外国人採用の利点の一つです。
外国語にまだまだ苦手意識のある日本人が、一から外国語を学び文化を理解するところからスタートするのはとてもハードルの高いことです。
しかし、日本の文化を理解しており、日本で働きたい外国人を採用することでそのハードルを回避することができます。
しかも外からの視点を持つ外国人の方々が職場に加わることで、全体の活性化をはかり、新しいアイディアの創出を期待することができます。
まとめ
外国人観光客の増加に伴い、多言語対応はますます重要な課題となっています。日本人スタッフの語学力向上や、多言語ツールの導入が必要ですが、それには時間とコストがかかります。
そのため、多言語対応が可能な外国人スタッフの採用は、対応力の向上だけでなく職場全体の活性化にも寄与するでしょう。
外国人観光客にとってより良い体験を提供するためには、これらの方法を組み合わせて効果的な対応を行うことが求められます。