日本におけるサービス業の必要性
日本の経済において、サービス業の必要性の確認を行いながら、今後の成長についてもご紹介します。
今後も成長を続けていくサービス業
「情報化社会」といわれる現代。
日本は、近代的な工業化時代が終わりをむかえて、非製造業である第三次産業が台頭しています。
その第三次産業を代表する業種が、サービス業です。内閣府の調査では以下のように公表されています。
広義のサービス産業(宿泊、飲食、生活衛生、教育・学習支援、業務支援等のほか、
卸・小売、運輸、金融保険、情報通信等含む)は、名目GDPの約7割を占め、規模は
拡大傾向。
(引用:経済産業省 2022年3月サービス生産性レポート(概要版)
これを読むと、サービス業は製造業のように有形ではなく、無形の価値を提供し、日本の産業において重大な存在感を発揮してきていることがわかります。今後も、需要が大いに見込まれる分野です。
サービス業の人手不足
サービス業は、日本の経済を左右する重要な役割を担っている一方で、大きな課題を抱えています。それが、慢性的な人手不足です。
労働力問題の現状と、このような事態が発生した原因について見ていきます。
深刻な人手不足
サービス業は需要が高まると同時に、深刻な人手不足が問題となっています。
東京商工リサーチによると、2023年上半期の「人手不足関連」倒産は67件であり、業種別には運輸業19件、サービス業他18件、建設業13件となっています。
また、「人手不足関連倒産」の中の内訳として、昨年には発生がなかった「人件費高騰」が24件発生しています。
[参照]2023年上半期の「人手不足」倒産 過去2番目の67件 賃上げに追いつかず、「人件費高騰」が急増 | TSRデータインサイト | 東京商工リサーチ (tsr-net.co.jp)
ただ「労働力が足りない」だけではなく、「廃業に追い込まれるほど人材の枯渇に悩まされている」「賃上げをしないと人材が流出してしまう」のが現状です。
人手不足の原因
なぜサービス業は、業界全体として人手不足になってしまったのでしょうか。
日本では、少子高齢化が進んでいます。これに伴って、労働人口の低下を招いている状況です。人口比率の多い団塊世代が、定年退職を迎えています。退職者の労働力を埋め合わすことのできる新しい若手の労働者が少ないため、労働力が足りない事態となっています。
サービス業の問題として挙げられるのが、労働条件や環境です。サービス業の中には、アルバイトやパートなどの非正規労働者が仕事場の大半を占め、正社員が少ないといった職場もあります。
たとえばカフェやレストラン、居酒屋の飲食業やホテル・旅館の接客業です。非正規雇用者は、正規雇用に比べて賃金格差があります。低賃金である職場にも関わらず、重労働を任せられることも少なくありません。
サービス業では、肉体的に負荷がかかる仕事をしなければなりません。
コンビニエンスストアや24時間営業のファーストフード店では、深夜勤務や不規則なシフトで勤務に出ることもあるでしょう。
また、接客業では、ただ接客をするのではなく、顧客のクレーム対応をすることもしばしばあります。現場にいれば、正規非正規関係なく対応を余儀なくされるため、精神的にも負荷がかかる仕事ともいえるでしょう。
このようなサービス業特有の労働環境では、仕事を中長期的に続けることが困難と感じる労働者も多くいます。結果的に、従業員が離職をして、職場に人手が定着しない状況が作られます。
人手不足への対策
ここでは、人手不足への対策について、2つのポイント「労働環境の改善」「外国人労働者の採用」についてご紹介していきます。
労働環境の改善
これはサービス業界全体にいえることですが、労働環境を見直す必要があるでしょう。対策としては、「長時間労働や重労働、低賃金を改善」することが必要となります。
その中には、「ワークライフバランスの充実化を目指す」ということが該当するでしょう。ワークライフバランスとは、従業員の仕事と私生活を両立させることです。
仕事などの業務だけではなく「育児や家事」「介護」「趣味」などの私生活に働き手が時間を確保できる取り組みをします。その一環として、「ノー残業デー」「フレックスタイム制」「育児休暇」「短時間勤務制度」が挙げられるでしょう。
また、評価制度や待遇面を見直すことも対策のひとつです。賃金の評価は特に重要となってくるでしょう。待遇に不満を感じている従業員がいる職場では、人材は定着しません。
公平で適切な評価基準によって、従業員の待遇を決める必要があります。
取り組みやすいのは、時給アップの明確な基準を設けることです。働いた時間が収入に直結する非正規労働者に対して、賃金の評価を是正することは、仕事に対するモチベーションを上げて、離職率を防ぐ有効な対策となります。
外国人労働者の採用
人手不足の対策として、もうひとつ挙げられるのは外国人労働者の採用です。国内での採用活動が難しい場合は、海外から優秀な人材を確保してみてはどうでしょうか。
近年外国人観光客が激増している中でより外国人の採用が活発となっています。たくさんの国から観光客がやってくるので、多言語での対応は必須なのです。日本語はもちろんのこと、中国語や英語、その他の言語にも対応しているバイリンガル、トリリンガルの外国人の活躍が期待できます。
外国人は特にサービス業での活躍が目立っているので、今後の需要拡大にも原動力となるでしょう。
まとめ
日本におけるサービス業は、これからも将来的に成長が見込まれています。
しかし問題は需要があるにも関わらず、「深刻な人手不足に陥っている」ということです。業界を盛り上げるための労働力が、現在では足りていません。
その需要を見越してこれからサービス業として事業を始める、もしくは継続性を図るのであれば、人材問題に先手を打って採用に積極的になることが必須条件になってくるでしょう。
さらには、採用をした人財の流出を防ぐため、モチベーションアップやスキルアップのための研修機会を提供することも大切です。
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