目次
中小企業が外国人を採用している理由
なぜ中小企業が外国人を採用しているのか、その理由を解説します。
なぜ、外国人を採用する中小企業が増えているのか?
外国人を採用するには、日本人を採用する場合と比較してデメリットも少なくありません。よく言われているのが「言葉の壁」であり、とくに細かいニュアンスの違いなどを外国人が理解するのは困難だとされています。
それでも、中小企業での外国人採用が増えているのは、明確な理由があるはずです。これといった理由なく外国人の採用を拡大しているとは考えにくいでしょう。
届出義務化以降、増えている
いつ頃から外国人の採用が増えているのか見てみましょう。厚生労働省は「外国人雇用状況」を発表しており、届出状況をまとめたデータによると、外国人を採用した際の届出が義務化された平成19年以降に増加していることがわかります。
また、外国人労働者の採用数の増加に伴い、外国人労働者を採用する中小企業の数も増加しています。 届出が義務化されてから最初の統計は翌年平成20年、その時点で約77,000か所の外国人の採用状況は約486,000人に上ります。
そして、8年後の平成28年の統計によると、事業所数は2.3倍の172,798か所、外国人の採用状況も同様に約2.2倍の1,083,769人まで増加。
その6年後の令和4年10月末の統計では、事業所数はさらにその1.7倍の298,790か所、外国人労働者数は1.7倍の1,822,725人にまで増加しました。
これらからわかるように、外国人労働者を採用する事業所の数が増加するに伴い、外国人労働者採用人数も増加傾向にあるのです。逆に言えば、外国人労働者数だけが増加しているわけではなく外国人を採用する企業も増えているので、社会全体として外国人労働者の採用が進んでいるといえます。
[参考]「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
増加の背景
なぜ外国人労働者が社会全体として増加しているのでしょうか。外国人労働者数が増加した背景としては、政府や企業が留学生の卒業後も日本へ留まるように「就労支援」を行っているのが理由として考えられます。また、高度外国人材の受け入れを増やしているのも、日本における外国人労働者数を増加させている理由と考えられます。
要するに、政府や企業などが、留学生の卒業後の受け皿を作っていることが背景として大きいのです。留学後の就労先として、日本は利用しやすい環境になりつつあるのでしょう。
労働者に苦しむ中小企業
なぜ外国人留学生の卒業後の就労支援を積極化させているのでしょうか。日本は現在「超少子高齢化社会」のまっただ中にあり、労働人口は減少の一途をたどっています。いわゆる「団塊の世代」など、人口の多かった世代が定年を迎えたことや少子化が進んでいることなどが原因で、その結果としてさまざまな企業(とくに中小企業)で深刻な労働力不足が起こっているのです。
企業としても日本人に限定して労働者を集めるよりも、外国人を選択肢に含めて枠組みを広げなければ、十分な労働力を確保できなくなっているのです。
中小企業が外国人を採用するメリット
日本人に限ってしまうと、企業は労働力を十分に確保できないリスクを抱えます。しかし、中小企業が外国人を採用するのは、そうした理由とは別のメリットも挙げられます。
新しい発想で社内の活性化
1つ目のメリットは「新しい発想による社内の活性化」です。日本人と外国人の違いは、言語や文化に留まりません。外国人労働者は、日本人とは異なる考え方やバックグラウンドを持っています。日本人社員と外国人人材との交流によって、自分たちとは異なる考え方を理解するきっかけになるのです。今までに無かった発想が生まれるなどして、会社の活性化につながります。
外国人労働者は、日本に留学していたとしても「母国で働く」という選択肢もあるはずです。それでも、異国であるはずの日本で働くことを選択するのは、相応の「チャレンジ精神」を持っているケースが多いです。そんな外国人は、就労先を知名度より「職務内容」で選ぶ傾向にあります。中小企業としては、職務内容が外国人労働者の希望にマッチしていれば、知名度が低くても優秀な人材を確保できる可能性があるのです。
イノベーション力の向上
次に「イノベーション力の向上につがなる」ことです。さまざまな国籍の外国人採用が、社内の活性化のみならず、会社のイノベーション力向上につながります。多様性とイノベーション力にはプラスの相関関係があるといわれており、中小企業の業績アップが見込めるのです。
海外進出を視野に入れた企業運営
3つ目に「海外進出を視野に入れた企業運営が可能になる」ことです。外国人労働者は、留学等によって日本語に慣れ親しみ、流暢に日本語を話せる人も珍しくありません。そして、当然ながら母国語の言語能力は損なわれておらず、母国語と日本語の両方を使える、いわゆる「バイリンガル 」「マルチリンガル」の人材になるのです。
海外進出では、まず現地の言葉の壁を乗り越えなければなりません。それだけでなく、現地の外国人労働者は言語だけでなく食習慣や風習などにも精通しています。これら文化の違いを理解している社員を抱えることにより、その地域への進出の足がかりとなるのです。
さらに、現地の企業や人たちからの信用を得やすいというメリットもあります。今後、国内だけでなく海外に向けてのビジネス展開も視野に入れるのであれば、外国人労働者の存在は必須であるといえるのです。
外国人採用に積極的な企業
最後に、どんな企業が外国人採用に積極的なのかを解説します。
外国人を積極採用している企業(中小企業・ベンチャー企業)
外国人の採用を積極的に行っている傾向があるのは「中小企業」や「ベンチャー企業」です。日本の中小企業やベンチャー企業は「海外拠点」を持っていない所が多い傾向にあります。今後、海外進出を検討する、そうでない場合でも日本国内の外国人に向けサービスを提供するなどの理由から、優秀な外国人人材を採用しているのです。
日本の中小企業やベンチャー企業の魅力
そんな中小企業やベンチャー企業で働くことは、以下のメリットがあります。外国人採用を積極的に進めたいのであれば、以下のポイントを全面に押し出してアピールする必要があるのです。
・大きく成長することができる
・中途採用者の待遇が良い
・仕事のやりがいが大きい
中小企業の外国人のポイント
中小企業やベンチャー企業が外国人を採用するのであれば、以下のポイントを押さえておく必要があります。
・ビザ手続き
・社内体制の整理(どのように外国人を採用したいのか?)
・留学生の就職支援
・留学生ではない外国人労働者への支援(ハローワークでも外国人雇用サービスセンターという機関で、外国人労働者の就労支援を行っている。)
・外国人人材紹介専門の会社
最後のポイント「外国人人材紹介専門の会社」について、少し掘り下げておきます。外国人人材紹介専門会社の利用のメリットは、外国人の採用を進められるだけでなく、欲しい「スキル」も確認した上で採用できることです。企業が必要としているスキルを持った外国人であるかを事前に確認できるため、採用後のミスマッチが少なくなる利点があります。
まとめ
人材が不足しがちな中小企業にとって、外国人労働者は労働力不足を補うだけでなく、さらなる飛躍のための起爆剤としても活躍してくれるでしょう。しかし、いきなり外国人を採用するといっても、教育方法に戸惑う企業も多いです。イマジンネクストでは、日本式ビジネスマナー研修など、外国人社員向けの研修をご用意しています。ぜひお気軽にご相談ください。