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在留資格「特定技能」ビザの種類
特定技能ビザは、特定技能1号と特定技能2号の2種類があります。まずは種類ごとに該当する業種とそれぞれの条件についてご紹介します。
特定技能1号
特定技能1号では、12の特定産業分野にて人材を受け入れています。
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材/産業機械製造/電気・電子情報関連産業
- 建設業
- 造船・舶用工業
- 自動車整備業
- 航空業
- 宿泊業
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
特定技能1号の在留資格を取得するためには、上記の業種に従事していることはもちろん、相当程度の知識もしくは経験を積んでいることが条件となります。これを満たしているかどうかは試験などが行われて判断されます。ただし技能実習2号を修了している場合の試験は不要です。
また、日常会話レベルの日本語能力を有していることも必要です。業務の中で日本語での意思疎通に困らないことが条件であり、こちらも同様に試験で判断されますが、技能実習2号を修了していれば試験は免除されます。
特定技能1号の資格は、基本的に家族帯同は認められていません。つまり単身である必要があります。
加えて、在留期間は通算5年までと決められています。更新頻度は3タイプあり、4ヶ月、6ヶ月、1年があります。いずれにしても上限は5年までという点に注意が必要です。
ちなみに転職も可能ですが、同一業種内であるか、技能水準の基準が試験によって確認されている業種内に限られます。
特定技能2号
特定技能2号に該当する業種は、特定技能1号の12分野のうち、以下の2業種のみです。
- 建設業
- 造船舶用工業
特定技能1号と異なる点はいくつかありますが、1つ目は技能レベルです。熟練した技能が必要とされ、試験によって判定されます。
2つ目は日本語能力です。特定技能2号の資格に関しては、日本語能力試験を受験する必要はありません。
3つ目は在留期間です。特定技能1号には上限5年という縛りがありますが、特定技能2号に関しては、更新が必要なのは変わりませんが上限がありません。そのため、永住資格が取りやすいというメリットがあります。
4つ目に家族の帯同です。特定技能2号は条件を満たせば家族の帯同が可能です。しかし、帯同が許されるのは配偶者と子どものみであり、親や兄弟姉妹は認められません。
転職に関しては特定技能1号と同様に、同一業種内であるか、技能水準の基準が試験によって確認されている業種内に限って認められています。ただし退職後3ヶ月を経過した後、特定技能に関する活動をしていないと在留資格が取り消される可能性があります。
「特定技能ビザ」を持つ外国人を受け入れする際の流れ
では特定技能ビザを持つ外国人を雇用する際にどのような手順を取る必要があるのか、2つのパターンに分けてご紹介します。
海外から来日する外国人の場合
海外から来日する外国人を雇用する場合からみていきましょう。
大前提として、特定産業分野の業務区分に対応する試験つまり技能試験に合格している必要があります。もう一つは日本語能力試験に合格していなければなりません。日本語能力試験は、国際交流基金の国際交流基金日本語基礎テストA2レベル以上、もしくは日本語能力試験N4レベル以上であるかで判断します。
上記を満たした外国人が求職活動を行い、日本人の就職活動と同様に試験や面接などを受けた後、受け入れ機関(企業)と雇用契約を終結します。特定技能ビザを申請するには、特定の業種の活動に従事することが前提であるため、ビザの申請前に雇用契約が結ばれている必要があるのです。
特定技能ビザの申請は入管局に対して行います。これを在留資格認定証明書交付申請といいます。必要な書類は以下の通りですが、日本で行う活動によってさらに必要なものや逆に不要な物もあります。なお、申請に際して手数料などは不要です。本人が行うのが基本ですが、受け入れ企業や行政書士などが代理で行うことも可能です。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 身元保証書
- 質問書など
審査に通れば在留資格認定証明書が交付され雇用が可能となります。審査に1~3ヶ月程度要しますので早めに申請をすることをおすすめします。
特定技能ビザが取得できた後、受け入れ企業から上記を郵送などで受け取った外国人は、在外交館に提出しビザの申請を行います。審査後にビザが発給され、いよいよ入国となります。
日本国内に中長期滞在している外国人の場合
すでに日本国内に中長期的に滞在している外国人の場合をご紹介します。
この場合も、特定産業分野の業務区分に対応する試験、つまり技能試験の合格と日本語能力試験の合格が前提となりますので、念のため確認が必要です。
外国人がハローワークなどで求職活動を行い、雇用契約を終結した後、在留資格変更許可申請書を入管局に提出し審査が行われます。審査が通れば在留資格変更許可が発行され、新しい在留カードが交付されることとなります。
中長期的に日本に滞在している外国人の場合、短期滞在のビザではなく、すでに別のビザを取得していることが多くあります。そこで業種などが異なる場合は上記の流れで変更申請を行う必要があるのです。変更申請は本人もしくは行政書士や受け入れ企業が代理で行います。
「特定技能ビザ」を持つ外国人を受け入れる際の注意点
特定技能ビザを取得している外国人を雇用する場合の注意点をご紹介します。
受け入れる際の注意点
外国人であっても日本人と同等の最低賃金を守るのは当然のことです。給与水準には注意しましょう。また基本的にフルタイム、直接雇用を行わなくてはいけません。
また技能実習制度などの段階で失踪してしまう外国人が多いことも踏まえ、以下のような生活支援を行う必要があります。
- ・入国前のガイダンスなどを理解できる言語で行う
- ・入国時の空港への迎え
- ・保証人となること
- ・日本語習得の支援
- ・オリエンテーションの実施
- ・相談や苦情への対応
- ・各種行政手続きについての情報提供および支援
- ・日本人との交流促進支援など
受け入れが不安なら専門家へ
言葉もまだまだスムーズではなく、生活環境や考え方も異なる外国人を雇用することは双方ともに不安が付きまとうものです。また外国人労働者を雇用したいと思っても、どんな人が来るのか不安に感じることもあるでしょう。
外国人を雇用したいが不安が残るといった場合は、専門家の力を借りるのが先決です。
まとめ
特定技能ビザによる外国人の雇用は日本の労働者不足に非常に有効です。しかし、はじめて外国人を雇用する企業は不安な要素が多く、手続きに時間が掛かることもあるでしょう。外国人を雇用したいが、何からはじめたらいいのか?などお悩みの場合は知識やノウハウを持つ企業や機関の力を借りつつ、スムーズに手続きを進めましょう。