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2019.04.21 本・読書
【書評】ファクトフルネス

キーワード:世界の真実

こんにちは。笹川祐子(https://twitter.com/imaginenext_ceo)です。

今、ベストセラーの「ファクトフルネス」(ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド著)

世界の貧困・教育・環境・エネルギー・人口問題—

「あなたの常識は、20年前で止まっている?」

この本には13の質問クイズがあるのですが、まともに正解できる人はほとんどいないとのこと。
特に、さまざまな国の様々な分野で活躍する人々。
医師、大学教授、ジャーナリスト、活動家、グローバル企業の役員、政界トップなど高学歴で国際問題に興味がある人たちでさえ、世界の今の現実を知らないというのです。
これには驚きました。
いわゆる識者の「世界はこう変わっていく」たぐいの本やレポートや記事が巷にあふれていますが、どれも、勘違いしている人によって発信されているとしたら?
私たちは誰を何を信じたらいいのでしょうか。
それを基に、世界の問題を解決しようという活動や、国家戦略やグローバル企業の戦略が、現実と乖離しているかもしれません。
世界のトップリーダーと言われる人たち
ちなみに、まともに正解できる人がいないというクイズは、どんなものでしょう。

あなたは世界の真実を知っていますか?

<質問> 世界の人口のうち 極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったか
A 約2倍になった
B あまり変わっていない
C 半分になった
<質問> 現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?
A 20%
B 40%
C 60%
<質問>いくらかでも電気が使える人は世界にどのくらいいる?
A 20%
B 50%
C 80%
さて、いかがでしょうか。
私自身もたくさんの思い込みやイメージに縛られていると思いました。

なぜ、世界のトップリーダーたちが、基本的な問題に答えられないのだろうか。

知識のアップデートを怠っているわけではない。
悪徳メディア、フェイクニュースのせいでもない。
その原因は脳の機能にある!

ドラマチックな本能と、ドラマチックすぎる世界の見方

人間の脳には、古来、狩猟時代からの本能が組み込まれているのです。
あなたは、次のような先入観を持っていませんか。
「世界では戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。
金持ちはより金持ちになり、貧乏人はいっそう貧乏になり、貧困は増え続ける一方だ。
何もしなければ天然資源ももうすぐ尽きてしまう」
確かに。
メディアでよく聞く話で、私もそう思っていました。
しかし、噂話やドラマチックな物語を求める本能が、「ドラマチック過ぎる世界の見方」と世界についての誤解を生んでいるとのこと。

では、どのような思い込みにとらわれているのでしょうか。

1.分断本能 「世界は分断されている」という思い込み
2.ネガティブ本能 「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
3.直線本能 「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み
4.恐怖本能 危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み
5.過大視本能 「目の前の数字が一番重要だ」という思い込み
6.パターン化本能「一つの例がすべてに当てはまる」という思い込み
7.宿命本能 「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
8.単純化本能 「世界は一つの切り口で理解できる」という思い込み
9.犯人捜し本能 「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
10.焦り本能 「今すぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み
この10の本能を抑えなければ、事実に基づいて正しく世界を見れないということ。
この本ではその本能をわかりやすく説明し、どうしたらそれを抑えられるか、具体的に教えてくれています。
そして、<情報を批判的に見ることも大事だけど、自分自身を批判的に見ることも大事>
自分は事実を見る準備ができているか?
この10の本能に縛られすぎていないか、自問自答や、訓練が大切です。
私はこれからもっと意識して世の中のニュースや数字を見ていこうと決意しました。

事実に基づいて世界を見れば、それほど悪くない。

恐ろしいニュースや悲惨な状況に胸を痛めることもあるけれど、良くなっていることもたくさんあるのです。
そうすれば心も穏やかになるし、世界の見方が変わりますね。
この本には、各種いろいろなデータとその出典がでていますし、日々アップデートされる情報にアクセスできるでしょう。
<減り続けている16の悪いこと>を見るとほっとします。
たとえば、
・飛行機時の死者数
・児童労働
・オゾン層の破壊
・飢餓
また、<増え続けている16の良いこと>も嬉しいが、知らなかったことも。
・小児がんの生存率
・絶滅危惧種の保存
・科学の発見
・オリンピック
この本の著者は3人のメンバーです。
この方々が世界の人たちに知識不足をなくそうと決意し、力を合わせ、専門職としてして培った経験を活かし、データ収集、データ解析、見やすいプレゼンテーションにまとめてくれました。
最大の功労は、

思い込みを乗り越え、データを基に 世界を正しく見る習慣を

私たちに提言してくれていることです。
世の中の変化のスピードが激しい現代。
環境、エネルギー、人口問題がどうなっていくか。
それらを考える今現在では一番正確なデータ、そのアクセス先が詰まっています。
特に巻頭の所得レベルと健康の国別チャート(日本は最上位レベル)、巻末の所得ごとの暮らしのカラー写真、データなど、新卒説明会や大学生向けの講演で使わせてもらっています。
お子さんに話せることもたくさん。
素晴らしい必読の書。
ぜひ、読んでみてくださいませ。

 

 

 

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