2022.09.19 起業・経営・会社
女性社外取締役ブーム!
こんにちは。
ライフ・リノベーター 笹川祐子(https://twitter.com/imaginenext_ceo)です。
先日、山梨から素晴らしいマスカットが届きました。
先週は三重県から巨峰が届き、ご近所の方にお裾分けしながら、葡萄三昧の日々です。
さて、私は現在、上場企業2社、非上場企業2社の社外取締役に就任しています。
このイマジンネクストをはじめ、他に数社の顧問、アドバイザーとして関わっています。
創業25年の会社を上場企業へ売却後、予想外の第二の人生です。
ありがたいことにどこも、今までのお付き合いの中から、お声をかけていただき、新しいことを学びながら、お役に立てるよう頑張っているところです。
ただ、私のような者に声がかかるのは、実は、上場企業が女性の社外取締役を求めているという事情があるのです。
確か2020年の年末ごろでしょうか。
日経新聞朝刊の一面に、「上場企業の半分に女性取締役がいない」という記事が掲載され、こんなことが一面に出るんだ!と驚くと同時に、ということはニーズが高まるなぁと感じました。
ですから今私が多くの企業様との関わりがあるのは、偶然ではなく、大きくいえば、社会の要望に沿う、時流とタイミングに合致しているということです。
今日はそのへんを整理してまとめてみます。
長文になりますし、これは3回ぐらいに分けてアップする予定です。
あまり関心のない方は、スルーしてくださいませ。
また、私自身がずっと人材業界に身を置いていたので、今後、女性社外取締役の人材紹介プロジェクトに関わり、女性社外取締役候補の勉強会を開催していきたいと考えています。
ご興味ある方は、ぜひご連絡ください。
なぜ今、女性の社外取締役ブームなのか?
① コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が2021年に改訂
「東証プライム市場上場企業において独立社外取締役を3分の1以上選任する」ということが示されました。
多様性、ジェンダーが重視され、日本企業の意思決定層には女性が少なく、女性取締役の登用ニーズが高まっています。
多様性が持続的な成長の推進力になり得るとされています。
※コーポレートガバナンス・コードとは、2015年6月1日から東京証券取引所が上場企業に対して適用しているものです。
法的な拘束力はありませんが、上場企業は従わなればならないガイドラインです。
遵守できない場合には、その理由を説明しなければなりません。
説明責任が発生しますので、遵守しようという動きにならざるを得ないと思います。
② 機関投資家からの圧力
ESG投資(環境・社会・企業統治)の観点から、女性取締役の必要性。
国内外の機関投資家の間では、女性役員が1人もいない企業に対し、取締役選任案で反対票を検討する動きも広がっているといいます。
機関投資家の行動に影響を与えるのが「議決権行使助言会社」の存在です。
2021年12月、最大手であるアメリカのインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズが日本の上場企業向け議決権行使の助言方針を改定しました。
女性取締役がいない会社の経営トップの取締役選任議案への反対を推奨しているのです。
ある機関投資家の担当者は、取材でこのように答えています。
「ダイバーシティー(多様性)はイノベーションを生み、よりよい職場環境をつくり、人材採用でも有利だ」
③ 女性活躍推進法が施行され「女性管理職30%を目指す」ことが目標
多くの企業では自社の生え抜きの女性役員候補が育っていません。
女性の役職者はずいぶん増えたのですが、部長となるとグッと少なくなるので、社外取締役に外部から女性を迎えるニーズが高まっています。
④ 改正会社法の施行(2021年3月)により、上場企業における社外取締役の設置義務化
コーポレートガバナンス・コードの「取締役会の3分の1以上を独立した社外取締役で構成する点」と、機関投資家からの多様性を求める圧力、女性管理職30%目指すなど、これらを解決できる技が「女性社外取締役」ということで、まさに女性社外取締役ブームが起きているのです。
ただし、別記事に続くところで、女性社外取締役の問題点にも書きますが、頭数揃えが先行し、上場企業の社外取締役経験者は少なく、1人の人が3社から5社兼任されたり、という状況ではあります。
重要な背景とは(私的見解)
世界の中での日本の停滞は、皆さんも感じるところだと思います。
この30年の間、イノベーションを起こせず、国力は衰え、貧しくなっている。
なぜ、日本社会は変われないのだろうか。
それがこのようなテーマで論文を書く動機になっています。
女性取締役を増やす、ということ。
私は世界の大きな潮流である、SDGs(持続可能な開発目標)との関連が大きいと思います。
ジェンダーギャップ指数なるものが毎年発表されています。
(日本も努力しているもののそれ以上に世界各国のスピードが速いので、先進国では最下位を更新中です。
世界共通の目標であり、各国の首脳が、より良い世界を実現していくための目標にジェンダー平等、男女格差をなくすことを選んだのです。
日本社会の上層部は、古き良き昭和の時代の名残があり、また戦後短期間で世界第二位の経済大国まで成長したという強烈な成功体験から抜け出せずにいるのではないでしょうか。
その歯痒さが、国内外からの機関投資家からの圧力にもなっているように個人的には感じます。
故安倍元首相の要請
国が女性活躍推進法を制定したり、成長戦略の策定にあたり、故安倍元首相が、経済界にこう要請していました。
2013年(平成25年)の意見交換会で、「全上場企業において積極的に役員・管理職に女性を登用していただきたい。まずは役員に1人は女性を登用していただきたい」と話されたのです。
それから約10年。
下記にも述べますが、いまだに役員ゼロの上場企業が約4割あるのです。
女性取締役は、現在、何人くらいいるのか?
最新のデータ(2022年8月29日)は、こちらの記事になります。
上場企業の女性役員:初の3000人台、比率は9%に上昇も社外取締役が中心
(2017年には約3.5%でしたから、着実に増えて来ています)
東京商工リサーチの調査では、上場企業3795社のうち、女性役員数は3575人と、前年度比21.8%増加。
一方、「女性役員ゼロ」という会社が全体の4割近くあり、業種別では不動産業、卸売業、運輸・情報通信業などという結果になっています。
業績の良い、株価も高い、グローバル企業は、早いうちから女性取締役の誕生、女性社外取締役の選任など、先手を打ってきました。
また、女性の社外取締役は急増しています。
株式会社プロネッド(コーポレート・ガバナンス助言会社)の調査では、
2022年7月1日時点での女性社外取締役は1732人で、5年前に比べて3倍以上。
全体に占める割合は24.8%で、社外取締役の4人に1人が女性であり、企業数ベースだと、75.8%(1301社)に1人以上の女性社外取締役が選任されています。
経歴は「弁護士等」が457人と最多で、次が「大学教授等」272人。
男性を含めると「上場企業の役員経験者」が最多ですが、女性の役員経験者はまだ少なく、結果的に士業や学識経験者の割合が高まっているとのこと。
株式会社プロネッド(コーポレート・ガバナンス助言会社)
https://proned.co.jp/archives/5065
次回の記事では、世界各国の状況をミニレポートしますが、フランス・ノルウェーは4割以上、イギリスは4割近くと、日本とは大きな差が開いています。
(2021年 OECDのデータより)
企業が女性活躍(女性社外取締役の確保)に取り組むことのメリット
2021(令和4)年4月21日 内閣府男女共同参画局の資料から抜粋致しました。
出典データもありますので、ぜひご覧ください。
国の施策として、下記の調査をもとに経済界に訴えかけており、いっそうのスピードアップが求められます。
① 女性活躍の状況が投資判断で重視されている
<調査対象>国内
・半数以上の投資家が女性活躍情報を活用している
・女性活躍情報を活用する機関投資家のうち、約9割が、活用する理由として「企業の業績に影響があるため」と回答
多くの機関投資家が、女性活躍の推進が長期的に企業の成長につながっていくと考えている
② 女性が活躍できると利益率は高く、両立支援があればさらに高まる
<調査対象>国内
・「なでしこ系企業」中でも両立支援制度を整備している企業は、財務パフォーマンスが中期的に向上することが示唆されている
・女性活躍を支援する企業ほどROA(総資産利益率)は高い
③ 役員に女性がいる企業のパフォーマンスは高い傾向にある
<調査対象>日本以外の10カ国
・女性役員比率が高い企業の方が、女性役員がいない企業よりもROE(自己資本利益率)、EBITマージン率が高くなっている
④ 経営幹部における助成割合が高い企業の株価パフォーマンスは高い
<調査対象>日本を含む56カ国
出典データ:諸外国における企業役員の女性登用について 令和4年4月21日 内閣府男女共同参画局
女性社外取締役のいない企業はどうなる?
① 企業名が公開される
私はびっくりしてしまったのですが、内閣府のホームページ上で、女性取締役がいな企業リストとして、企業名が公開されてしまうのです。
こんな感じです。(2021年7月時点)
○東京証券取引所第一部市場上場企業のうち、女性役員がいない企業リスト
https://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/yakuin.html
錚々たる大企業の名前も出てきます。
② 株主総会で、続々質問される
「女性取締役はなぜいないのか」質問が増えています。
こちらの対応にも苦慮されることかと思います。
③ 機関投資家からの圧力
また上記の、「なぜ今女性社外取締役か」で書きましたが、国内外の機関投資家からの圧力が大きいです。
株価にも影響します。
④ 採用や会社のブランディングへの悪影響
女性活躍・登用が進まない企業は、就職・転職先としての魅力にも欠け、ただでさえ、人手不足の時代に、優秀な人材が流出してしまったり、新しい確保が困難になります。
すでに企業は、働く人たちから<選ばれる>立場なのです。
雇用しているという立場から、働いてもらっていると、経営者もパラダイムシフト(価値観の転換)が求めらます。
また消費やサービスにも女性視点が求められ、消費者・生活者の心を掴むブランディング戦略も大切です。
と、ここまで書きましたが、続きには、「世界各国の状況」「現状の問題点」など、
そして、女性のキャリアの一つとして、「社外取締役という働き方」などアップします。
ジェンダー・ギャップ指数2022の過去記事です。
★笹川祐子 プロフィール
★ライフ・リノベーター宣言
★企業の人材教育・育成ならイマジンネクストへ
社員研修を検討中の方へ
社員のスキル向上で、このようなお悩みを抱えていませんか?
- 外国人を採用しても、すぐに辞めてしまう
- 言葉・文化の壁があり社内コミュニケーションがうまくいっていない
- 日本のビジネスマナーや商習慣を理解してもらいたい
- 新人の配属前に、役立つ研修を色々と受けさせたいが、何かメニューを提案してほしい
- 後輩の指導をする先輩社員が悩みを抱えている様子がある
- SEのコミュニケーション力をUPさせたい
- 新人や事務スタッフのパソコンスキルを向上させたい
- リモートワークを導入しているけれど、Microsoft 365のアプリが上手く使いこなせていない
- プログラミング教育など、新人研修の講師が不足している
- メンタル不調になるメンバーが最近増えてきたので何か対策をしたい
- 健康経営を推進するために、従業員の健康意識も高めたい
- ハラスメントへのリスク意識を高め、安心して働ける職場環境をつくりたい
内容や時間等、一社一社に合わせてカスタマイズしていますので、研修一覧に記載のないものでもお気軽にご相談ください。