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2022.11.24 本・読書
「パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ!」前田晃平

キーワード:ジェンダー女性活躍推進男性育児

こんにちは。

ライフ・リノベーター 笹川祐子(https://twitter.com/imaginenext_ceo)です。

さて、先日、【「パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ!」が私を変えた】と社長時代の反省を書きました。

女性の産休育休をあれほど支援してきたのに、男性の育休というのが全く抜けていました。

これもアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)だったと深く反省しています。

この本は、私の中では、2022年度ベスト1

論文に必要な本は約50冊読んできましたのが、その中でもナンバーワン!

いろいろな気づきを与えてくれた最高の本です。

さて、肝心の本の紹介を本日のブログでさせて頂きますが、私は肌感覚的に

男性育児ムーブメントが起きている!と感じています。

 

産後パパ育休(出生時育児休業)が10月1日から施行されました!

 

改正育児・介護休業法により、産後パパ育休(出生時育児休業)が10月1日から施行されました。

(厚生労働省:「産後パパ育休(出生時育児休業)が10月1日から施行されます」)

大手企業の人事の方が、駆け込み需要(育休取りたいです!)が増えてて大変だとおっしゃっていました。

妻の出産はもっと早くわかっていただろうに!と人事や現場は当惑するようですが、

裏を返せば、今まで言いづらかった状況で、法律の後押しもあり、よし育休取ろうと動き出す人が増えてくると思います。

この著者の育児体験を追うように、私自身も追体験ができました。

常々、子供を産んでいない未経験の私には、気づかないことが多々あり、もっと早く出産育児の実態を知る努力をすべきだったと思うのです。

著者は育児を通じて、妻との信頼関係を築き、子どもの成長を日々見つめる喜び幸せを感じ、何より視点が変わって、社会問題の捉え方が大きく変わりました。

 

政府が打ち出す「すべての女性が輝く社会づくり」パパはどこに?

 

「女性、頑張れー。ママたち、もっと頑張れー」と応援しているけど、

パパたちはどこに行っちゃってるわけ?と。

OECDの統計によれば、他の先進国の中で、日本のパパが突出して家事も育児もやっていません。

でも、それは日本社会に根付く、男女の性別役割分担意識が強いのです。

「男は外で稼ぐ、女は家事育児で家庭を守る」

戦後の高度経済成長期はこのシステムがうまく回ったのですが、バブル崩壊後、

女性も共働きをするようになり、

「男は外で稼ぐ、女も働き、家事育児もする」状況になっているのです。

日本社会はこの性別役割分担意識と長時間労働で、男性の側も家事育児したくてもできない、男もつらいよ、という状況があります。

でも中には、コロナ禍で在宅になったり早く帰宅しても、何もしない、という男性がいるのも事実で、それはこの性別役割分担意識を見直していく必要もあるかと思います。

 

ママの産褥期は、パパの正念場

 

出産直後の女性は、ホルモンバランスが急激に変化し精神状態も不安になり、慢性的睡眠不足に陥り、ある意味、交通事故にあったような状態にも近いそうです。

この産褥期は、著者曰く、パパの正念場!

「主産後に大きく変わる妻の愛情」というデータがあるのですが、結婚直後にピークを迎えた夫への愛情が、出産直後から子供が高校入学までにどんどん下がって低迷していくか、回復するか2グループにわかれるのです。

妻の出産直後に夫が家事育児にコミットしたかどうか、この時期を逃すとその後の愛情曲線の回復は極めて困難とのことです。

私はここで、なるほど〜、熟年離婚が多いのは、こういうことも一因にあるのだと気づきました。

そして、産後ママの死因トップは「自殺」です。

パートナーのケアが本当に大切です。

 

日本の男性育休制度は世界一!

 

しかしながら、実際の取得率は、2022年最新のデータで、13.9%。

スウェーデン、ノルウェーでは約80%、ドイツは35.8%なんですね。

実際の取得率が先進国の中でも日本が低いのは、

一番に、職場に迷惑をかけるから、という理由が多く、

男性社員が育休を取得しなった理由として

業務が繁忙で職場の人手不足

会社で育児休業制度が整備されていない

職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だった

要は全て職場の問題です!

そして、 ①と②はそもそも誤解です!と著者は説明しています。

①の人手不足ですが、一定の条件をクリアした企業は「両立支援助成金」を受けることができます。会社の収支的にプラスになります。

出産というのは何ヶ月も前からわかっていることなので、それに対応できないって、そもそも経営のあり方を根本的に見直したほうがいいですね。

②は会社の就業規則にない、という意味かもしれませんが、「育休」は法律で定められているものなのです。

とはいえ、それを主張しづらいのが

③の職場の育休を取りづらい雰囲気、につながるのです。

著者自身が「キミィ!仕事をなんだと思っているのかね!」というニュアンスをかつて何度言われたことか。

その度に、「あたなこそ!私の家族をなんだと思っているのかね!」と言いたいところを我慢していました。

今、男性新卒の8割が育休取得を希望する令和にあって、昭和的価値観の企業は立ちいかなくなると思います、とのこと。

ということで、経営者、上司の皆さんはこういう声を真摯に受け止めてほしいです。

 

少子化の原因は!?

 

九州と四国の人口分が消滅する、2035年の日本。

あと、13年後に、そんな時代が来るんですよ。怖くないですか?

政府の少子化対策に改善の兆しは見えません。

なぜでしょうか。

著者の結論として

男女の不平等が、少子化の根源

出産育児の負担が女性に偏りすぎ、この国のジェンダーギャップが酷すぎる!

女性のキャリアの機会損失が大きすぎるともいえます。

世界経済フォーラムで発表されるジェンダーギャップ指数2022では、日本は146カ国中116位。

このジェンダーギャップ指数と合計特殊出生率の間には相関関係があります。

男女平等な社会ほど、女性が安心して子供を産めるのです。

しかしながら還暦を迎えた私の周囲の年配者や同世代でも「男は外で稼ぐ、女は家事育児家庭を守る」という性別役割意識が根強い。

(もちろん、国際的に活躍している人や進歩的な人もいますが、年代別意識調査等、内閣府の調査にも現れています)

これをどうにかしなきゃ!

成田悠介が、皆さん引退してください、っていうのうなづけます。

目指すべきは、

全ての男性が安心して家事育児できる社会づくり

多くの日本人女性が他国の女性と同じように普通に働きたいと感じています。

でも家事育児負担が女性に偏ったままでは、働けないですし、「もう1人産んで」と言われてもできないのです。

さらに少子化が進むのは、実質賃金の減少です。

 

日本の家族関連支出は対GDP比で先進国最低レベル

 

家族関連支出とは、国が家族手当、出産・育児休業給付、保育・就学前教育、介護、その他の現金・現物給付のために行った支出のことです。

諸外国と比較すると、日本は相当ケチっているのがわかって、私も愕然としました。

そしてそのケチったツケは「無償ケア労働」という形でママが支払っているのです。

日本のママの無償ケア労働時間は他国に比べて圧倒的に大きく、一方でパパの負担は少ない。その分、有償労働時間が長いのですが、パパの育休参加の前提には、「長時間労働やめる!」ことが大事ですね。

そして、この家族関連支出が増えると、女性の就業率が上昇するというデータが出ています。

そうですよね。ワンオペ家事育児を社会がサポートしてもらえると安心して子供を預けて働けます。

この著書全部をご紹介するにはさらに長文になってしまいますが、

ぜひ、経営者、リーダーの方に読んで、職場の変革の一つにしてほしいですし、これからパパになる方の視点がグッと上がります。

まだまだ読んで考えさせられることいっぱいです。

子育ては自己責任、という社会で良いのか

「親子への投資」は子どもがいない人にもメリット!

子どもにお金をかける町は、人もお金もどんどん増える 明石市の事例

日本には、子どもたちを性犯罪から守る仕組みがない

(変えるリスクに敏感なのに、変えないリスクに無頓着な日本社会)政治を動かした!

人の幸せとは?選択肢が多いこと? 幸福度の高い人の人たちに共通する行動

実は私の論文も、最初は「女性活躍、ジェンダー」がテーマだったのですが、

今は、「男性活躍」を掲げているのです!

それはまさに著者の熱いメッセージと同感です。

私も男性に育児を頑張って!というのではなく、育児を通して、いろいろな気づきが多様性のある社会につながっていくと考えたからです。

 

著者の素敵なメッセージ

 

平成は、女性の社会進出の時代でした。令和は、男性の家庭進出の時代にしませんか。」

【「男性の家庭進出」は単に家事育児を頑張ってやる、ということだけではありません、

真の意味は、社会に向ける視点のアップグレードです。

家庭から社会を眺めると、全く異なった景色が見えます。

みんなにより良い社会にするには、男性の認知の歪みの是正が第一だと思います。

その起点はママと同じ体験をすることではないでしょうか

男性の家庭進出こそ家庭だけでなく、日本社会の問題を解決する上で重要なもので、自分も育児をやることで「当事者意識」が持て、社会の至るところに違和感が出てきて、声を上げることができました】

この著者前田さんは、本の発行当時(20215月)はNPOの職員でしたが、

なんと今は、内閣官房こども家庭庁設立準備室参事官補佐へ!

政府「こども政策の推進に係る有識者会議」メンバーでもあります。

彼のさまざまな活動の発信、1人の人間の行動が社会を動かす、変える、典型的な良いお手本です!

前田晃平さんのnote
ぜひ読んでみてください。特に経営者、リーダの方、これから結婚する男性へ。
https://note.com/cohee/

 

この書籍関連のもう一つの私のブログ記事
『「パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ!」は私を変えた。社長の反省』

 

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